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第14話

「っ……はな、せ」 「何が最善か少し考えれば分かるだろう?」 「そいつがちゃんとしてるかなんて、会ったことないんだから分かる訳ない」 「そうだな。だが、複数人の相手をするよりはマシだと思うが?」  どうする? と言いたげに瞳を覗き込まれて、リアムは奥歯をきつく噛み合わせて息をのむ。 (取引だって? 単なる脅しじゃないか。くそ……!)  自分に選択肢などない。どちらにしてもこの男に好きなようにされるのだ。それならせめて──。 「っ……ラファエルが、それを望んでるかは分からないだろ。誰につくとかそういうのはラファエルに聞いてくれ。それまで、手出しさせないようにしろ」 「ふっ……奴隷のくせにどこまでも上から目線だな。まあ、良いだろう。あとで皆に伝えてやる」 「今伝えろ」  抱かれた後で約束を反故にされたら堪らない。強く主張すれば、ルイはたいそう面倒くさそうにため息をついた。 「仕方ないな。──マティス」 「ご用を伺います」  ルイが扉の外に向かって声を張り上げると、すぐに姿を現す。 「こいつが背負っていた黒髪の男は覚えているか?」 「はあ、現在治療のため部屋で休んでおりますが……」 「あいつには手を出すなと皆に伝えろ」 「はっ、承知しました」  ルイに忠実な部下は恭しく敬礼して出て行く。扉が閉まったのを確認したルイは改めてこちらに向き直り、拘束の手を幾分か緩める。 「これでいいな」 「……ああ」 (……最低だ。卑怯だ。……最悪だ)  わざわざ取引を持ち出すくらいだ。リアムの必死の抵抗はそれなりに効果があったのだろう。それなのにここに来るまでの自分の言動のせいで、弱みを握られてしまった。友を人質にされたのではどうしようもない。  とはいえ、こうなることが分かっていたとしても、あの場で歩けなくなったラファエルを放っておくことはできなかっただろう。 「──けど、番には絶対ならないからな」 「絶対、か」 「無理やりしてみろ。その時は自分が死ぬことになってもお前を呪い殺してやる」 「それは怖いな」  リアムは凄んで大真面目に言うが、ルイは大して怖がる素振りを見せず、むしろ楽しそうに笑った。その態度が気に入らなくて、リアムはキッと睨み付けるが、それも軽く受け流されてしまう。

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