15 / 35
第15話
「それにしても……本当に華奢な体だな。これでよく戦おう思ったものだ」
そう言いながら布をたくし上げ、脱がせようとしてくるが、リアムは反射的にその手を払う。当然手を払われたルイは不愉快そうに眉を顰めた。
「拒否するなら取引もなかったことにするが?」
「ち、違う。……自分で、脱ぐ」
慌てて言い訳すれば、ルイは真偽を問うように目を細め、リアムに拒む意志がないと分かると、それ以上の咎立てはやめたようだ。代わりに意地悪く笑んで、眉を上げる。
「ほう、それは楽しみだ」
リアムは、失敗した……と思いながらも緩慢な仕草で起き上がる。脱がされるよりはマシだと思ったものの、いざ裸になるのだと思うと居たたまれない。
乾いた喉をゴクリと鳴らし、震えそうな手で服の裾を掴む。
けれど、こういった事は恥じらうほど相手を喜ばせてしまうのだと、Ωとして色んな視線を浴びせられてきたリアムはよく分かっていた。ならば、わざわざ相手に悦 い思いをさせてやることもないだろう。
腹を括ったリアムは、半ば自棄になって乱暴に服を脱ぎ去り、下着に手をかけて一息に下ろすとその辺に放る。
物の数秒で一糸纏わぬ姿になれば、案の定ルイは面白くなさそうに視線を下から上へと移した。おまけに恥ずかしげもなく堂々と裸体を曝し続ける様は、情欲を煽るには今一歩どころか、幼子を見ているような気分にさせたに違いない。
現に先ほどまで雄々しくギラついていた金の瞳は、興味を失くしたように翳っている。
「色気がないな」
「……そんなもの、なくていい」
無愛想に答えながら、リアムは思う。このまま幻滅して引き下がってくれればいい、と。
(でも、この程度で引き下がるような男ではないよな)
もし、リアムの願いを叶えてくれるような男であれば、最初に抵抗した段階で殴られたり酷い目に遭わされたか、彼はとっくに退室していただろう。
その推測を裏付けるように、ルイは顎を擦る仕草をした後、口角を上げた。
「だが、思い切りがいいのは気に入った」
ルイは露わになった中心部に、羞恥を煽るような視線を寄越す。
「こっちもピンクか」
ほんの一瞬頭髪に目を向けたと思ったら、再び視線が下に落ちる。その眼差しに耐えられなくて、リアムは四つん這いになって尻を差し出した。そうすれば、ルイは不満そうに名を呼ぶ。
「リアム。こっちを向け」
ともだちにシェアしよう!