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第17話

 抗議しようと背後を振り返る。だが、その前に指が深くまで入ってきて、リアムは額を枕に押し付ける。  潤滑油のついていない指はずっ、ずっ、と引っかかりながら強引に押し入ってきた。 「魔法を使ったのか。油断も隙もないな」 『こっの、下手くそ! せめてオイルを使えよ!!』 「なんだ? 言いたいことがあるならこちらの言葉を使え」  思わず口を衝いて出た罵声にルイは形の良い眉を顰めた。自国の言葉になってしまったから、聞き取れなかったか意味が分からなかったのだろう。あるいは悪口を言われたのが分かって不快だったのかもしれない。 「それ、やめろ……っ」  もう一度。今度はバングルごと壊してしまうくらい強いイメージを膨らませるが、自国のものとは違い頑丈な作りなのか、出そうとしていた魔力が再び自分に返ってきてしまう。  痛みや衝撃が手首を通じて全身に伝わってくる。 「うぐ……っ」 「馬鹿だな。自分が弱るだけだぞ」 「~~っ」  不快感よりも痛みの方が上回り、ようやく理性を取り戻したリアムは、先の取引を思い出して抵抗をぴたりとやめる。  そうだ、彼を拒めばラファエルが酷い目に合う。それは避けたい。  なんとも言えない不快な感覚から逃げるように枕に顔を埋め、やり過ごす。 「そうだ、大人しくしていろ」  ルイは満足そうに笑うと、無理やり押し拡げるのをやめた。 「望み通りオイルを使ってやる。下手だと思われたままなのは(しゃく)だからな」  予想外の言葉にリアムは顔を上げる。 「────ルーティア語が、分かるのか」 「お前たちを見守らなきゃならないからな。全部筒抜けだから無駄な悪巧みはしないことだ」  見守るんじゃなく監視だろ、という言葉は呑み込んだ。これ以上無益な会話を続けるつもりも馴れ合うつもりもないからだ。  ルイは指を引き抜き、香油を手の平に垂らすとそれで指を滴らせる。  室内には(たちま)ち妖艶な花の香りが立ち()めて、リアムは顔を歪めた。無理やり性感を呼び起こすような野卑なこの香りは、あまり好きにはなれない。 「力を抜け」  声掛けと同時に先ほどよりもほっそりした長さのある指がゆっくり中に入ってきて、優しく内壁をなぞり、擦り上げる。すると、先ほどの不快感が嘘のように無くなり、全身から力が抜けた。  絶妙な力加減にいったい何人のΩをこうして組み敷いてきたのかと思うが、そんな思考はすぐに流される。狙い定めたように、ある一点をそっと愛撫されたからだ。  じん……と痺れるような愉悦が湧き水の如く下腹部から全身に広まって、リアムはびくんと脚を強張らせる。  声だけは出すまいと堪えるが、吐息に甘美な切なさが混じるのは隠し通せない。 「っ、はぁ……っ」

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