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第18話

 それを見たルイは上機嫌に鼻を鳴らした。 「良い反応だ」  腹部側にある弱いところを何度も擦られて、リアムの性器が形を変える。 「ん……っ」  注ぎ足した香油の香りとは対照に、ルイの指はゆるりと時間をかけて情欲を煽る。   それに焦れて、指を追うように腰を揺らしそうになるが、そこまで理性は捨てきれなくて、枕を握り締めることで堪えた。 「リアム、首輪を外せ」 「っ……いや、だ。番には、絶対ならない」 「今は発情期じゃないんだ。番にはなれないだろう」  ルイは空いている方の指先で腰から背中をなぞると、項を隠す護身具に触れた。リアムは首を竦めて、その手が遠ざかるのを待つ。 「これを外すなら、ある程度の自由をやろう。そろそろ外に出たいんじゃないか?」  背中に覆い被さったルイは耳元で誘うように囁いて、愛撫する指を増やす。丁寧に解されたそこは、難なく二本の指を受け入れて、強請るように快楽を追い始めた。 「っ……」  甘く痺れるような愉悦は体だけではなく頭の芯まで蕩けさせておかしくする。それでも流されまいと、リアムは敷布に爪を立てて散り散りになった思考を手繰り寄せる。  確かに外に出たい。外に出て自分の足で情報を集め、祖国の様子を知りたい。救援の動きはないか、本当に裏切られたのか。今後どう動くにしても外からの情報は必須だ。  だが、番にされてしまったら今以上に自由なんてなくなってしまう。目先の餌に飛び付いて、自分で自分の首を締めることになるのは御免だ。 「はず、したら……返すつもり、ない、くせに」 「そうだな。新しいのをつけてやる」  その新しい物は当然、施錠も解錠もルイが管理するのだろう。他のアルファと番えないように。自分の番にするために。 「ふざ、けるな」  肩を揺らしてルイの手を払えば、頭上から呆れたような溜息が降ってくる。 「自分の立場が分かっていないようだな。それにお前は勘違いしているようだが、無理やり番にする気はないぞ。自害されたのでは番にする意味がないし、殺される気もないからな」 「なら、外す必要もないだろ……!」 「いいや、勝手に番を作られたら事だ。こちらで管理する。その首輪では心許ないし、お前だって番になりたくないのなら、もっと頑丈な方が良いだろう? ここはアルファも多い」  もちろん頑丈な方が良いに決まっている。だが、いくら物が良くても相手が自由に解錠できるなら、それは無いも同然だ。 「いやだ。信じられるかよ」 「リアム……悪いようにはしない。言う通りにすれば、お前の望みも聞いてやる」  ルイの声音は心()しか縋っているようにも感じられたが、そんな事で絆されるリアムではない。彼の言葉を跳ね除けるように、冷たく言い放つ。 「なら、まずセックスをやめろ。俺に許可なく触れるな。それから皆を解放しろ」  この要求が通らないことは判っていたが、傲慢な相手の気を少しでも挫く事ができれば、と威嚇のつもり言った。だが。  

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