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第21話

「くそ……っ、なんで」 「ほら、こっちを向け。今の体勢だと首輪を壊して噛みつきかねん」 「っ……」  その言葉に項をバッと押さえれば、指は引き抜かれ、体がふわりと浮いて反転させられる。同時に、首から下げていたペンダントが、頬にひやりと触れて思わず息を呑んだ。 「おい……!」 「もう忘れたのか? 俺の名はルイだ」 「っ……ブライス!」 「ファミリーネームも覚えててくれたのか」  ルイの顔に歓喜の表情が浮かぶのを見て、リアムは舌を打つ。名前を呼ぶのが嫌であえてラストネームで呼んだのに、これでは逆効果だ。 「やはりこっちの方がいいな。可愛い顔がよく見える」 「おれ、は……忠告したぞ。手が出ても、知らないからな!」 「好きにすればいい。そんな蕩けきった体で何ができるのか知らないが」  頬がカッと熱くなる。(あざけ)られた怒りと事実を指摘された羞恥で目の前は真っ赤だ。  ルイは前を寛げると、避妊具をつけた凶器に香油を滴らせて、リアムの脚を大きく開く。 「そのまま力を抜いていろ」  秘孔に宛てがわれたそれは恐ろしい硬度と大きさで、思わず、ひっ、と息を呑む。とっくに覚悟を決めていたはずなのに、いざ突きつけられたら逃げ出したくなった。  だが、そんな真似はリアムのなけなしのプライドが許さない。怖気(おじけ)付いた姿も、涙も、目の前の男にだけは、これ以上見せたくないと強く思う。 (皆、してるんだ。……大したことない)  何度か秘孔に押し当てられ、やがてゆっくりと巨大な質量が中に入ってくる。 「っ、いっ……ぁ」  強張(こわば)って震える手で敷布を掴み、今まで感じたどの痛みとも違う種類の激痛に、瞼をぎゅっと閉じて情けなく声を漏らす。  こうして体の内側を拡かれ暴かれるのと剣で肉を抉られるのでは、果たしてどちらが辛いだろう。そう比較するほどに、リアムにとってはきつい行為だった。  それなのに、なぜか楽しそうに笑む気配がして、リアムは訝しむように目を開け、彼を半目で睨み付ける。なんだか無性に腹が立った。  苦痛に歪む顔を見て笑うなんて、中々良い性格をしている。 「なにが……おかしい」 「いや? 初々しい反応で可愛いと思っただけだ」 「っ……んぐ、ぁ」  ルイが腰を押し進めると中が引き攣れるように痛んで呼吸が浅くなる。  けれど、初めてだと思われたくなくて、声を抑えて意識的にゆっくりと息を吐き出せば、余計な力みが無くなって、結果的に体も少し楽になった。 「まだだ、リアム。もっと力を抜け」  今までとは打って変わって、優しく甘ったるい声で囁いたルイは、萎えかけたリアムのそれに香油を垂らしそっと愛撫する。  にちゃぬちゃと淫らな音を立てながら、敏感な所を(ねんご)ろに可愛がられて、リアムの腰がびくんと跳ねる。  

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