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第22話

「ぁっ、はぁ、ぅ……っ」  発情期のような感覚を引き起こす妙な香りと相まって、体から力が抜けていく。リアム自身がいくら拒んでも、体は傷つかないように弛緩し、誘い込むように男を受け入れる。  我ながら、こんな時まで適応力が高いのかと呆れたものだ。ルイはそれを受けて満足そうにニッと笑む。 「それでいい」  痛みと共にリアムの中に押し入ってきた凶器はようやく全て収まり、気遣うようにゆっくりと動きを止めた。 「辛いか?」 「っ……さっさと、終わらせろよ」 「生意気なやつだ」  彼から余計な優しさを与えられるのが怖くて、気丈に振る舞った。こんなやつに絆されるのは絶対に嫌だ。その一心で。  彼は意地悪げに目を細めると、ほんの少し腰を揺らす。 「ひ……っ」  そして、リアムが情けなく顔を歪めるのを見て楽しそうに笑った。 「そんなに締め付けられたのでは動けん」  そう言いながら、顔を近づけてくる。思わず目を逸らせば、その顔は胸の方へ下りていき尖端を口に含んだ。リアムの敷布を掴む手にぎゅっと力が入り、瞳が揺れる。 「っ、ぁ……やめ、ろ」  円を描くように乳輪を舐り、歯を立てたかと思えば、労るように舐め上げて、乳頭を舌先で何度も転がす。  時折優しく吸い上げられれば、そのたびに下腹部にずくんと熱が溜まった。  それを宥めるように、ルイの手は陰茎をゆったりと上下に扱く。 「あ……っ、うう」  形を変えた男根が彼の手の中で強請るようにピクリと震え、蜜口から先走りがとろりと零れた。 「やっ、ん……っ、やめっ」  頭の中はどろどろで、蕩けきった愉悦に全身を冒される。 「は、ぁ…っ」 (おかしく、なる……) 「だいぶ良さそうだ」  そう言ってルイは軽く腰を揺らすと、ゆっくり体を引き一気に打ち付けた。 「っ、う」  何度かそれを繰り返すと徐々に激しい律動に変わっていく。  始めのうちは痛くて苦しかったのに、いつの間にか苦痛を快楽が上回っていて、揺さぶられる度にビリリとした何かが全身を駆け巡った。  甘ったるい香りがいっそう濃くなって、全身が蕩けるように気持ちいい。自分の嬌声が鼓膜を揺らす。それにさえも感じる程、体が鋭敏になって思考が白濁する。 (こんなの、おかしい)  腰骨の奥がぞくぞく…っ、と痺れて息が上がり、堪えきれなくなった声が小さく洩れる。 「あっ、あっ、あ……っ」  次第に高くなっていく声音に、いやいやと首を振り体を強ばらせる。  次の瞬間、勢いよく自分の腹部に熱い飛沫を飛ばした。 「っ、あっ、やめ、~~~っ」  絶頂を迎えてもなお腰を打ち付けられて、行き過ぎた愉悦にじわりと涙が浮かび、下腹部が震える。 「リアム……っ」 『ひ……っ、だめ、だめ…っ』 「ふっ……母国語に戻るくらい、良いのか?」 「違っ、あっ、はやく、おわらせ、ろ……!」  びくん、びくん、と全身を震わせて再び絶頂を迎えれば、ルイもようやく果てたようだ。  だが、凶器の根元が急速に膨らみリアムから抜けなくなる。  それはアルファ特有の亀頭球で、本来オメガの発情期に当てられて、ヒートと呼ばれる状況になった時しか現れないものだ。 「お前、なんで……っ」

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