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第24話
「じゃあ、先輩の魔術師はどうなった?」
「先輩たちは……おまえらに殺されて……」
「亡骸は見たのか?」
「っ……それどころじゃ……むごい殺し方したくせに」
人とも分からない形で見るも無残な姿だと、情報誌に書かれていた。凄惨な殺され方をされ、遺体どころか肉片すら見つからない状態だったと聞く。
「じゃあ、その前は?」
その前やさらに一年前の先輩達はルーティアの軍隊で今も活躍しているが、それより前だと魔法陣に閉じ込められて焼かれ、生き残ったものは捕虜として連れて行かれたと養成所の資料で見た。
「その死んだ人含めて全員この国にいるって言ったらどうする?」
「……!」
「今も飼われたり、奴隷として働かされてるって言ったら?」
「そんな、わけ──」
ありえない。いや、実際にこうして捕らえられているのだから、ありえなくはない。わけが分からなくなってリアムは右手で額を押さえる。
「そもそもこんな貧弱な体で俺たちを倒せると本気で思ってたのか?」
「っ、だから、魔法に力を入れて……!」
「その魔法も発揮できなかったけどな」
「っ……あそこは地質の関係で魔法は出づらくなっているから不利だった。もう少しすれば他の兵も来るはずたった!」
「そうか。だが、お前たちも死んだり捕虜になったことになっている。あとで向こうの情報誌を取り寄せてやろう」
そう言うと、ようやくヒートが収まったのか、秘孔から凶器が抜けて、ルイはベッドから降りた。
「……なんで、俺だったんだ」
呟くような問い掛け、しかし聞こえない声量ではないのに、しばらくの沈黙が落ちる。
「──本当に思い当たることはないのか?」
探るような顔で問われて、前に会ったことがあるだろうかと思いを巡らせるが心当たりはない。
「何がだ?」
聞き返せば、ルイは少し哀しげな顔をした────ように見えた。ほんの一瞬だったから気のせいかもしれない。
「まあいい。シャワー浴びるだろう? 手伝ってやる」
「よくない! なんで俺だったんだ?」
「なんとなくだ」
話題を変えようとするルイに再度問いかけるが反応はあまり良くない。番にしようと思うくらいだから何かしら理由があるはずなのに。
「魔力が……人より強かったからか?」
「さあ、どうだろうな」
ルイは答える気がないのかリアムの言葉を軽く流した。そんな彼の態度に苛立って、体を起こそうとしてくる手を打ち払う。
「…………出ていけ」
「何?」
ルイは一瞬不愉快そうに目を細めて、低い声で言った。けれど、そんな事には構わずリアムは足元にあった掛け布団を手繰り寄せ頭から被る。
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