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放課後、また俺は片桐に弄ばれていた。 「や、やだって……!」 「我慢しろよ」 「うぅ……ッ」 片桐に机の上に押し倒され、強く押さえつけられる。 そして無理やりベルトを外され、ズボンを引っ張られた。 「ケツ出して」 「や、やだ……」 「俺のこと好きなんでしょー?  今日は特別に突っ込んでやるよ」 「……ッ、だ、誰か来るって……  み、見られたら、片桐だってヤバイだろ……」 「別にいーよ。  さっさと脱げよ。 殴るよ?」 「……っ、わ、分かったよ」 仕方なく、俺はズボンを脱いだ。 渋っていても仕方ないと思い、下着も脱いだ。 下半身が空気に晒される。 教室で下半身を露出しているという事実が恥ずかしかった。 「うぁ……っ」 脱いだらすぐに机に身体を押しつけられる。 そして尻を掴まれ、窄みに何か熱いものがあてがわれる。 「ぁ、ぁ、ま、待って……」 散々性的に弄ばれて来たが、実際片桐に挿入されたことはまだなかった。 「待つわけないだろ、バーカ」 「んぐぅ!?」 慣らしもせず、乾いたままのアナルに無理やり捻じ込まれる。 肉がメリメリと裂ける痛みと、物凄い圧迫感に襲われる。 一瞬、息が出来なくなった。 「……ッ、い、痛い痛いッ!」 「キッツ…… まだ半分も挿入ってないっつーの……」 「……ッ」 ローションも使わずに、そんなところにチンコが挿入るわけがないんだ。 片桐とセックス出来るのは嬉しいけど、普通に抱いてくれる気は当然ながらないみたいだ。 「はあっ、全然気持ちよくねぇじゃん……つまんない……  俺のこと好きならさぁ、俺を気持ちよくさせる努力をしろよカス」 「ご、ごめっ……」 「力抜けって」 「んぅ……」 ゆっくり深呼吸し、全身の力を抜いた。 強張っていた身体を意識してゆるめる。 痛みに耐え、尻の力も抜けば、片桐のチンコがまた少し奥へ入ってきた。 「あ、そうそうイイ感じ……」 「ふっ、はあ……」 無理やり挿入された穴は相変わらずヒリヒリと痛む。 俺はちっとも気持ち良くない行為だった。 「大好きな俺に抱いて貰えて嬉しー?」 「あがっ!」 ずぶっと更に奥まで挿入され、激痛が俺を襲う。 濁った呻き声が勝手に口から漏れた。 内臓を直に圧迫される痛みなんて、今まで想像もして来なかった。 「か、片桐っ、い、いぎっ、痛いっ……!」 「うるせぇな、我慢しろよ。俺の事好きなんでしょ?」 「んぐぅ……ッ」 片桐が、ゆっくり腰を揺らし始める。 自分の快楽だけを貪るように、亀頭を擦りつけて来る。 「はは…… アナルは初めて挿れたけど、結構いいじゃん」 「く、苦し……っ」 「だからうるさいって! 人が来るだろ!!」 「あぎっ……!?」 強く激しく、腰をぶつけられる。 内臓を押し上げられるような感覚が気持ち悪くて、吐き気がした。 「お前はいつもいつもウルセェんだよ!!  根暗ブスの癖に気安く遊星に話し掛けやがって!! 死ねゴミが!!」 「……ッ」 ――ああ、今分かった。 別に片桐は俺で遊んでたわけじゃないんだ。 片桐は単純に俺が嫌いなんだ。 嫌いだから、虐めるんだ。 ――でも、なんで? 遊星って神崎、だよな……。 神崎と親しいクラスメイトなんか、俺の他にもいっぱい居るのに。 それなのに、なんで俺だけこんなに恨まれてるんだろう。 「はあ……はあ……っ、クソ……ッ  オラ! ちょっとは気持ち良さそうにしろよ!  俺がわざわざお前の汚いケツ穴に突っ込んでやってんだからさぁ!」 「ひぐっ……」 片桐はめちゃくちゃに腰を振り、俺に肌をぶつけてくる。 片桐のモノが俺のナカを行き来する度に、肉が擦れる痛みが俺を襲う。 ローションなんか使ってないのにぱちゅぱちゅと卑猥な音がするのは、きっと出血しているからだと思った。 「ほら、気持ちいいかよ? 気持ちいいだろ?」 「ぐ……」 「気持ちいいって言え」 「き、きもち、い、です……」 「へー、こんなのがイイとか、ド変態だねー」 「………………」 肉体を犯されて、精神を侮辱されて、気が狂いそうだった。 片桐はその後も乱暴に腰を振り続け、勝手にイった。 中に出されて、浣腸されたみたいな感覚が襲って来て死ぬかと思った。 排泄感に近い様な感覚が込み上げて来て、全身から汗が噴き出す。 気持ち悪い。 「ねー、向井」 「はっ…… ぐぅ……」 片桐に、髪の毛を掴まれる。 髪をぐっと持ちあげられ、無理やり視線を合わせられた。 「キスしてほしい?」 「……え?」 「俺とちゅーしたい?」 「はっ……はあ……ッ」 ――片桐と、キス……したいよ。 してみたいに、決まってる。 どんなに酷くされたって、俺は片桐が好きなんだから。 ここまで雑に扱われても、怒鳴られても、片桐が好き。 だって、嘘でも嬉しかったんだ。 俺を好きだと言ってくれたことが……。 「ぁ……っ」 ずっと着けて居たマスクをずらされ、唇が露出される。 顔を見られるのは、陰部を見られることよりも抵抗があった。 俺は顔にコンプレックスがあったから。 表情を見られるのが嫌だったし、単純に自分の顔の造形が醜い事も嫌だった。 顔を近づけられ、俺はぎゅうっと強く目を瞑る。 「……するわけないだろ、バーカ」 「…………」 「ブッサイクな顔……」 「…………」 「さっさと死んでねー」 片桐は、俺をそのまま放置して、教室から出て行った。 俺を置いて行く片桐の後ろ姿を、ただ眺めるしか出来なかった。

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