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次の日、片桐は学校へ行く気にならず、歓楽街をうろついていた。
本来学生が来るべき場所ではなかったが、片桐にはそんなことどうでも良かった。
此処で適当な女でも捕まえて、気を晴らしたかった。
何かで気を紛らわせていないと、心が壊れてしまいそうだったから。
しかし、片桐維弦はその歓楽街で、出会ってはいけない人物と出会ってしまう。
「片桐くん」
「あっ……」
片桐の心臓が跳ねる。
昨日、片桐はシムカをほったらかして勝手に帰ってしまった。
「あ、き、昨日、すみません……」
「ああ、いいよいいよ。 気にしないで?」
「すみません……」
「丁度君に連絡しようと思ってたんだ」
「面白いもの用意したからさ、今からちょっと付き合わない?」
「はあ……」
半ば自暴自棄だった片桐は、何の警戒もせずにシムカに付いて行ってしまう。
「ここは……」
薄暗い、今はもう使われていない倉庫だった。
そこには、片桐の全く知らない男たちが居る。
男たちは皆ガタイがよく人相が悪い、典型的なチンピラといった感じの風貌だった。
「あぐっ!?」
片桐は、突如男に膝蹴りを喰らわされる。
膝蹴りは片桐の腹に綺麗にヒットし、それにより片桐は咳き込み、跪いた。
「な、なにすっ……」
腹を抱え、震える声で片桐が尋ねる。
その声は既に弱々しく、向井の前での彼の強気な態度からは想像が出来なかった。
「昨日なんにもせずに帰っちゃったでしょ?」
「困るんだよね、そういうの」
「こっちもさぁ、遊びやボランティアでやってるわけじゃないんだよ」
「ぜんぶ、仕事なの」
「だから片桐くんの勝手で撮るって言ったり、かと思えば急に辞めたりなんてそんなの許されないんだよ」
「……責任取って貰うからね」
「せ、責任て……」
「片桐くんでAV撮るってことだよ」
片桐はいつの間にか複数の男に囲まれていて、囲んだ男たちはカメラやら照明やらを用意していた。
「ふ、ふざけんなよっ、なんで、俺が……ッ!」
「うるさいよ」
「がっ!」
シムカが跪いたままだった片桐の胴を蹴る。
片桐はバランスを崩し、地面に尻を付く。
尻もちをついた片桐に、男たちが抱きつくように手を伸ばし押さえつけた。
男の手は自由に動き回り、片桐の服の中へ侵入し直接肌に触れる。
「なにすんだよ!! 気持ち悪いな!!」
片桐は暴れて逃げようとするが、男に掴まれて身動きが取れない。
片桐の抵抗はまるで無意味だった……。
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