8 / 12

8

――………… ――…… 次の日、片桐は学校へ行く気にならず、歓楽街をうろついていた。 本来学生が来るべき場所ではなかったが、片桐にはそんなことどうでも良かった。 此処で適当な女でも捕まえて、気を晴らしたかった。 何かで気を紛らわせていないと、心が壊れてしまいそうだったから。 しかし、片桐維弦はその歓楽街で、出会ってはいけない人物と出会ってしまう。 「片桐くん」 「あっ……」 片桐の心臓が跳ねる。 昨日、片桐はシムカをほったらかして勝手に帰ってしまった。 「あ、き、昨日、すみません……」 「ああ、いいよいいよ。 気にしないで?」 「すみません……」 「丁度君に連絡しようと思ってたんだ」 「面白いもの用意したからさ、今からちょっと付き合わない?」 「はあ……」 半ば自暴自棄だった片桐は、何の警戒もせずにシムカに付いて行ってしまう。 「ここは……」 薄暗い、今はもう使われていない倉庫だった。 そこには、片桐の全く知らない男たちが居る。 男たちは皆ガタイがよく人相が悪い、典型的なチンピラといった感じの風貌だった。 「あぐっ!?」 片桐は、突如男に膝蹴りを喰らわされる。 膝蹴りは片桐の腹に綺麗にヒットし、それにより片桐は咳き込み、跪いた。 「な、なにすっ……」 腹を抱え、震える声で片桐が尋ねる。 その声は既に弱々しく、向井の前での彼の強気な態度からは想像が出来なかった。 「昨日なんにもせずに帰っちゃったでしょ?」 「困るんだよね、そういうの」 「こっちもさぁ、遊びやボランティアでやってるわけじゃないんだよ」 「ぜんぶ、仕事なの」 「だから片桐くんの勝手で撮るって言ったり、かと思えば急に辞めたりなんてそんなの許されないんだよ」 「……責任取って貰うからね」 「せ、責任て……」 「片桐くんでAV撮るってことだよ」 片桐はいつの間にか複数の男に囲まれていて、囲んだ男たちはカメラやら照明やらを用意していた。 「ふ、ふざけんなよっ、なんで、俺が……ッ!」 「うるさいよ」 「がっ!」 シムカが跪いたままだった片桐の胴を蹴る。 片桐はバランスを崩し、地面に尻を付く。 尻もちをついた片桐に、男たちが抱きつくように手を伸ばし押さえつけた。 男の手は自由に動き回り、片桐の服の中へ侵入し直接肌に触れる。 「なにすんだよ!! 気持ち悪いな!!」 片桐は暴れて逃げようとするが、男に掴まれて身動きが取れない。 片桐の抵抗はまるで無意味だった……。

ともだちにシェアしよう!