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第3話 ※
暗い部屋の中で行燈がひとつだけ明るかった。布の摩擦が聞こえ、影が布団の上で縺れ合う。金髪が燈火の色に揺らめいた。荒い呼吸の音が止まり、微かな水音がした。するすると人の影からもう1人の影が滑り落ちる。布団に倒れる前に支えられて、抱き起こされた。
「安住とは、何を話していたんだ?」
「野良猫…の…話…っ、です…っん」
金髪が流れる引き締まった胸の頂を節くれ立ってはいるが品のいい形をした指がくりりと遊んだ。
「好きだ、好きじゃないという話をしていただろう?」
しっとりした低い声が乱れた金糸の間を縫って青明 の鼓膜をくすぐる。
「ぁ、あっ…本当に、猫の…話を…っ」
指の腹が胸の突起を押し潰すが、ぷっくりと腫れたそれはまた勃ちあがり芯を持つ。跳ねるように青明は胸を突き出す。
「本当かい、安住?」
「うん」
「…え?」
生命尊 に問われ安住は肯定した。
「なんで、安住…どこにいるんだ?」
「出て来なさい」
生命尊に命じられ安住は膝で歩いた。行燈の光に強い明暗を持って安住は青明の前に出た。肌着を絡ませただけの全裸に近い金髪の青年は驚きに目を丸くしていた。
「強張っているな。何を今更恥ずかしがる?」
「見、るな…見ないでくれ、安住…」
安住は青明の耳を食んだ生命尊に指示を仰ぐ。
「君は見られたほうが反応がいい。これも護手淫 の練習だ」
「ぁ、あ…そ、んな…」
金糸の中の耳朶が生命尊の形の良い唇に挟まれ、真っ赤な舌が這ったり、突ついたりした。
「安住なら、そう恥ずかしがることもあるまい」
「ぅぁ……ん、ぁ…で、も…」
耳を甘噛みされながら、青明は膝を閉じる。一糸纏わぬ下半身は大胆に安住へすべてを晒していた。しかし生命尊はそれを許さずぶつかり合った膝と膝の間に手を割り入れる。
「まず君はその羞恥を捨てなさい。護手淫は恥ずかしいことではないんだよ。君が困った人々を守り、慈しむ、とても美しく尊い行いだ。それをきちんと身体の奥底まで理解しなければ」
膝から腿の間に手が伸びていく。
「あ、あ…ッ」
頭をもたげている茎の先端部に指先が掠る。
「前は出したらいけない。勿体ないからからね。だから裏側をいっぱい気持ち良くしてあげよう」
「ぁ…あ、待っ…て、くだ…さ…」
赤い瞳は蕩けながら潤み、安住と見つめ合った。だがその桜桃 のような双眸は生命尊の大きな手に隠される。
「誰を見ているんだ。安住か?私か?」
「み、こと様…で……っふぁぁ、」
長い指がまた胸の肉粒を弄ぶ。もう片方の手は双袋を触れるか触れないかのところで焦らした。
「安住、菊花を舐めてあげなさい」
「うん」
命令されるまま安住の両手が閉じかかっている青年の膝を左右に開いて身を伏せる。
「あず、んンっ、」
安住とすれ違いに下半身に伸びていた手が青明の顎を取り、唇を奪う。安住は戦慄く内腿を感じながら淡く色付く菊花を探す。
「んんぁ…っ、は、ぁ、」
青年の口腔に舌が入り込む。少しずつ四肢が弛緩していく。
「ん、ぁっ」
安住の舌が窄まりに触れた。びくりと大きく腰が跳ねる。妨げようとする脚を持って、さらに頭部を深く埋めた。浅くつけた舌先を窄まりがひくひくと締める。全体を舐めてから窄まりの中心を突つく。腿が震えていた。青明と生命尊の唇が奏でる湿った音に安住の舐める音も加わった。すぐ近くにある青明の茎ははちきれんばかりに膨らんでいた。
「安住、そろそろいいだろう」
生命尊の声に安住は青明のそこから口を離して起き上がる。主人は珍しく口元からだらしなく唾液を滴らせていた。青明も同様で、何本か金糸も乱れて張り付いていた。ぼんやりしてとろんだ目が安住を見つめた。
「君は何度抱いても初めてのお姫様みたいな反応をする」
肩を抱かれ、青年は師の胸に身を委ねた。
「安住に見てもらいなさい。これも修行の一環だ」
「あ、ずみ…」
濡れた赤い目が師に攫われていくのを安住はじっと眺めていた。
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