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第7話 ※

 速い息遣いで腿に爪を立てられる。安住が履いているスラックスがひゅいん、と音を立てた。 「ぃ、や…も…ぁ、許…して、」  青明(はるあきら)は爪研ぎにしていた他者の腿に頬擦りし、自身の額を押さえたり、またすぐ傍にある脚に縋ったりと忙しなく動き回る。 「駄目だ。君にしっかりと分かってもらわなければ」  弟子の臀部を押さえ、ふたつならぶ円やかな肌のその狭間に顔を埋めたまま生命尊(みこと)は返した。淡い色の蕾を舐め、内股を吸う。日の当たらないその箇所に小さな花が咲いていった。 「ぁ…ぁあ、」  硬くなった雄芯が腰の揺れに遅れて前後に振られる。柔肌に赤みが差すたびにそれは大きくなった。 「みこ、とさま…みことさま、」  腿を引っ掻く金髪を安住は掬いあげては掌から落とした。指に絡まることはなく、するすると流れていく。段々と手付きは青明の頭に沿うようになり、額から指先を差し入れては毛先に向かって指を通していく。さらさらと落ちていく。引っ掻く力が弱くなっていく。 「私はここにいるよ」  窄まりに舌先が入った。びくびく、と青明の手が震える。 「みこ、とさま…前を、どうか、前を…っぁあ、」 「駄目だ。勿体ないだろう?君には護手淫(ごしゅいん)の大切な修行がある。私がいただいていいものではないよ」  生命尊の声はひどく優しかった。 「おねが、い…ぁ、っ…しま……もぉ、ダ、メ……」  安住の手が髪を梳き、師の口が後孔を苛む。下肢が震え、青明は熱い吐息を漏らした。 「感じやすいな。どうしても前を触りたいなら、護手淫の修行に切り替えようか。私も手伝おう」 「待っ、ぁ…でも、そんな……っ」  生命尊は青秋の双袋と蕾の間の紅路に口付ける。安住は腿で、生唾を飲む音を聞いた。 「安住、受けてやりなさい」 「うん」  脚の上に乗る青明の上半身を支えて退かす。生命尊は彼の身体を抱え壁際へ連れて行った。安住は壁と青明の裸体に挟まれる。 「手をついて。護手淫を施すんだ」 「あ、ぁ、」  生命尊にされるがまま、青明は壁に手をつき、片足を持ち上げられる。まるで犬の用便に似た体勢は青明を真っ赤に染め、目には水膜が張った。下腹部の茎もまた充血し、質量が増す。先端部は粘性を帯びた雫がとうとう形を壊して畳に溶けていく。 「ぁ…ぁあず、みぃ」  安住には青明の腹と護手淫の矛しか見えず、視界も陰っていた。ただ彼の背中から見え隠れする金色の毛先が輝いて見えた。 「うん」  眼前に構える屹立に躊躇いのある手が回され、その上に形のいい手が重なった。芯に絡まり、動き出す。 「ぅ、あ、ぁあ……」  2人の重なった手の残像を安住はぼうっと見つめた。肌のぶつかる音がした。 「あ、あ…当たってます……みこ、とさ……ま……」 「そうだ。当てているんだ。私のはどうなっている?」 「っすご、く…あっ、ぁ、…すごく、硬い……」 「君を見ていたら、こうなったんだ」  生命尊の唇が青明の背中を啄ばみ、頸や肩を甘く噛む。前を扱く2人の手が激しくなった直後に緩やかになった。 「ぁっ…もぅ、だ、め…」  安住の顔に白濁が噴く。雄茎が脈打っている。目元、頬と鼻の頭、口角に散った白液がとろみを持って頤へ向かう。 「切ってあげないと」  射精後の余韻からまだ抜け出せていない青明はべたりと畳に座り込んで、覚束ない手先で円を描き、両断する。安住の顔にかかった液体がしゃらしゃらと光を纏った粒子となって消えていくが、大半は残ってしまう。 「仕方がないな」  安住の視界に大きく生命尊が映り込む。安住の顔に舌が這う。 「みことさ、ま…そんな…汚いで、す…」 「何を言っているんだ。神聖な行いのはずだろう。それに、君のだ」 「みことさま…」  生命尊は安住の顔を舐めて清めると、その場で青明に口付けた。角度を変え、濃くなっていく。離れた頃には青明は息切れを起こしていた。 「自分の味を知っておくのも悪くないだろう?」 「…は、い」  蕩けた赤い目が、その裸体に飛び込む生命尊を受け入れ、交じり合う。

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