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第6話

(なんだったんだよ。あれは……) あのまま昼休みを過ぎてしまい、掃除に来たおばちゃんにタッパーを怯えながら渡されてしまった。 人助けをしたつもりだった。自分でいうのもなんだが、昔から情に厚く、ダチとの関係は死ぬまで大事にするのが俺の決まりだった。親父もそれは褒めてくれたはずだ。 しかし、先ほどの紙袋男の態度を見るに、邪魔されて欲しくなかった、と言った感じだった。 『女神様!!おれに、おれに出世を!ボインな彼女を……!』 『んっぁ……ぅ!!』 腕を後ろで掴み、ズコパコと己のモノを突く中肉中背の男。その前には必死に声を殺そうとするが、苦しそうな声を上げる紙袋に顔を描いた男。 (親しい仲があんなやり方をするか?) 十人いれば十人のやり方や考え方があるという。社内セックスをしたい奴やトイレで愛を育みたい奴もいるだろうが、傍から見たらレイプにしか見えない。 それに、奴らは紙袋男のことを『女神様』と呼んでいた。どこか『女』神なのかは分からないが。 (神頼みにも見える。それに……) 「現段階まで雪、雪だるま、栗、サンタクロースなど挙げられたワードを元に各自作っている様子だわ。………そこの肘をついて考えている真城クン。もちろん、新しいアイディアを考えてくれているのよね?」 「………あ、はい!!」 しまった。聞いていなかった。 「これは異動でやって来たあなたにとっての優しさなのよ?私たちの聖域に何か別の"問題"をこれ以上持ってくるのなら帰って頂戴」 「す、すみませんでした……」

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