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第9話
「真城クン!!」
「あ、はい……!!」
小鳥遊リーダーの声が耳元でし、慌てて席を立つ。彼女は腕を組んでため息をこぼしていた。
「すみません。俺、また話を……」
大事な作戦でもしていたんだろうか?今回は別思考になっていた訳ではないが、調べ物をしていたせいで話を全く聞いていなかった。
すみません。もう一度頭を下げようとすると、
「真城クン。あなた、分からないところはある?」
「………っは?」
「だから、何か分からないところでもあるかしらって言ってるのよ!ほら、今回の企画はにっこりお菓子メーカー生誕百年の企画でもあるし、分からないことがあったら君よりも先輩の私に……!!」
眼鏡の縁をあげ、胸を張る小鳥遊リーダーにチーム全員の視線が集まる。俺も思わず思考を停止してしまっていた。
「えっと………」
「あぁ、もう!!だから!!この間は本当に申し訳なかったし、君の居場所を無くしたいとかそういうのではなくて、人を見た目で判断して申し訳ないかと思ったし、最近あまりお昼ご飯も食べていなそうだったし、それで……」
ああ。牛島さん、きっと分かってくれる人は分かってくれるんですね。
胸の中がじんわりと暖かくなっていくことは久しぶりの感覚だった。
「ふっ……」
「なっ!!何を笑って……!!?」
「い、いや。お気遣い、ありがとうございます。さすがチームのリーダーですね。俺のこともきちんと見てくれてありがとうございます」
「……は…ッ!!?」
白い肌が途端に赤くなったのには疑問だったが、今は自分の力でやれるところはやってみたいと答えた。
「そ、うね。それは良かったわ。作業の邪魔をして悪かったわ。今後も頑張っていきましょうね」
「はい」
「あ、そうだわ。これ、君のかしら?」
くるりと振り返った小鳥遊リーダーの白衣ポケットから薄浅葱色のハンカチが出てきた。あの時、床で落としたものをなぜリーダーが?
「さっき、掃除のバイトの子が持ってきたのよ。『名前は分からないけど背の高い目元にホクロのある
方に……』と言われてね」
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