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第12話

「この枝豆とタケノコの炊き込みご飯……っ。おにぎりしても美味しいんですね〜!あつあつも食べてみたいです……!」 「今日は鮭ですか……っ!?僕、鮭が和食の中で一番好きなんです!」 「ふぁ〜っ……!!青のり入り卵焼き……鼻から磯の香りが抜けて、卵も甘くてふわふわでおいひ〜〜っ!!」 「真城、最近楽しそうだな」 「えっ……!?べ、別に何もないですよ!?!?仕事は煮詰まっていますし……」 さっきなんて自信作十三番であったチョコケーキinモッツァレラは大滑りで小鳥遊リーダーは二口目が無理と言われたし、前田前チームリーダーに無言の微笑みを受けたところだ。 「前田前チームリーダー……無言の時の方が怖いです……」 「へぇ〜〜」 隣ではニヤニヤとこちらを見る牛島さんがいる。俺の顔に何かついているのだろうか?まさか、さっきのチョコが!? 「なんか、いいことあった、という顔してるぞ?恋人でも出来たか?」 「は、はっ!?べ、べべべ別に何もありませんよ!?」 「へぇ〜〜?じゃあ、その小さなカバンにあるお弁当箱はなんだ〜?前までタッパーが一つだったよな?」 ぎくり。チラッと視線を下ろせば右手に白地に花柄の手提げカバン。しかも黒のお重箱が二段しかもいつバレたんだろうか。 「お前、関西ではツッコミ側と言ってたけど。どっちかと言うとツッコまれる方だよな?」 「なっ……!!俺は突っ込まれてなんかないです!!むしろ突っ込む側です……!!」 口元でぷるぷると弧を描く牛島さんを見て、俺はしまったと思った。耳が熱い。 「まぁ、幸せそうで何よりだ〜〜。じゃあな〜〜」 後ろにいる俺に手を振り、彼は階段を降りていった。姿が見えなくなるとその場で大きなため息が出る。 「……さすが、牛島さん。俺が憧れた番長だけある……」 しかも裏番。高校の時にもう彼は既に伝説となっていたが、勉強などよく見てもらった兄貴であるあった。 「そんなに出やすいのかな……」 あんなことを言ってしまったが、周りに誰もいなかったのが幸いだった。 (あれ?そういえば牛島さん……弁当箱を持っていなかったような) いつもはイチの部屋で愛妻弁当ならぬ彼女さんが作った弁当をメンバーに見せびらかしながら食べてるそうだ。 (毎日は忙しいよな) 俺のだって最近までは弟や妹たちが手伝ってくれていたんだ。感謝して笑顔で食べてくれた方がいいに決まってる。屋上へと上る足は軽くなっていた。

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