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第2話
「おはようございます」
厚木を筆頭にスタッフが慄く、調査官がやってきた。
調査官は3人。
会議室に通される前に、席で田村は様子を見ていた。
背の高い、眼鏡をかけた痩せ型の男。
同じくらいの身長で黒髪を後ろで結わえた女。
そして2人に挟まれた背の低い、天パのような髪型の男。
(捕らえられた宇宙人みたいだ)
田村が3人の様子を見てぶぶっと笑う。
「田村っ」
隣の席の石橋が椅子を蹴る。
「いやだってアレ…」
気持ちは分かるけどよぅ、と石橋も苦笑いだ。
厚木が会議室に入る時、田村も呼ばれた。
税務調査が初めてのスタッフがいるときは、厚木は必ず調査官との名刺交換と挨拶をさせるらしい。
「お忙しいところをどうもどうも。経理の部長をやっとります、厚木です。こちらはスタッフの田村」
厚木が誘導して名刺交換をすすめた。
背の高いメガネが矢部、黒髪の女は八木というらしい。二人はソツなく名刺交換をするが…
「あ、すみません!名刺切らしてまして」
背の低い宇宙人…いや男はカバンの中を探しながら厚木と田村に申し訳なさそうにお辞儀する。
「あー、気にせんでください!えっと…」
「すみません!僕、今井といいます。よろしくお願いします」
まだペコペコしながら今井はカバンを閉じた。
(こいつデッチなんだろうなー。名刺交換する必要もないか)
今井の様子に、田村は苦笑いする。
さしずめリーダーはメガネの奴か。
「では早速…」
田村には初の、厚木たちにはお馴染みの税務調査が始まった。
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