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第3話
それから数日間。
田村は資料室と会議室の往復を日に何度もしていた。
調査官は色んな資料を重箱の隅をつつくかのように調べていた。税務官たちが調べたい資料を探して、作業している会議室に持っていくのが田村の役目だ。
それだけではなく、資料で引っかかった業務を担当している部署の管理職を「事情聴取」するために会議室へ呼び出しするという役目でもあった。
「勘弁してくれよー!今週忙しいんだよ!」
「数時間も取られるんだろ、あームリムリ!」
管理職は行くのが面倒なのか、あきらか様に嫌そうな顔を向ける。
それでも田村は頼み込んで会議室に何とか連れて行った。
(あああ、もうめんどくせぇー!)
調査官にはペコペコする癖に、文句は全部こっちに言ってくる。
資料探しと管理職の呼び出しに時間がかかり、自分の仕事は進まない。
田村のイライラは溜まっていく。
その様子を隣で石橋がニヤニヤしながら見ていた。
「お前がくるまではオレがしてたんだよなー。面倒だろ」
「…そう思うなら手伝ってくださいよ!」
オレも忙しくてさー、と石橋はそそくさと執務室から出ていく。
自分の机を見てため息をつく。今日も残業決定だ。
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