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29《不穏の帰宅》

「国近さんすごいです、天才ですね!」 「褒めすぎだろ、何もでないからな」 「ふふ、国近さんはいつも料理してるんですか?」 「まあな、家帰っても暇だしな、自分の好きなもの作って食べているうちに、色々作れるようになった」 「すごいです、それに…料理に国近さんのオーラが残ってて本当にあたたかい料理です」 「そうか?気に入ってもらえたなら良かったよ、これで少しは食欲出たか?」 「もちろんです、全部食べます!」 大きくうなずき… ニコニコしながら答える東洞。 「ふ…俺に息子がいたらこんな感じなんだろうな…」 なんだか子どもに餌づけしているようで…可笑しくなる。 「息っ?…僕そんなに子どもっぽいですか?一応22才なんですけど!」 むう、と頬を膨らませる東洞… 「いや、どうだろうな…」 ははっと笑って誤魔化す。 和やかな雰囲気で食事が進む… 「僕は…国近さんがまたうちに来てくれて、本当に嬉しかったんですよ」 「ん?」 「一度、僕の家に入ったら、たいていの人は、僕の家には寄り付かなくなりますから…」 少し悲しげに伝えてくる。 「東洞…」 「お祓いを見ても、この家を見ても…気味悪がらずに、今まで通り僕に接してくれて本当に嬉しかったんです」 そう微笑む東洞。 「……まあ、お前は変わってるけど、いい奴だから、信じれると思ったんだ」 思ったことをそのまま伝える。 「…ありがとうございます」 「担当だし、お前が仕事に集中できるようになるまでは、俺がなんとかサポートしてやらないといけないからな…」 「はい、がんばります」 「お前が仕事に集中出来ない理由は…」 続けて聞こうと話しかけていると… 「っ!」 東洞はハッとして、入り口の方を見て突然立ち上がる。 「どうした?」 「え、どうして…明日の筈なのに…」 困惑した顔で呟いている。

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