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30《不穏な乱入者》
「なんだよ…」
明らかに動揺している東洞。
こんな姿は初めてだ…
「…っ、あの…」
キュッと表情を引き締め、俺に話しかけようとする東洞だが…
それを何者かの声が遮る。
「尊~帰って来たぞ!」
東洞を呼びながら、不意に部屋に入ってくる人物。
すらっと背が高く、まだ若い短髪の男。
まっすぐ東洞を見て近づき、そのまま東洞を抱きしめた…。
「会いたかった、しばらくぶりだな、尊はやっぱ可愛い」
「や…ちょ、やめてください…優志さん」
それを遮るように手で押し退けながら慌てて拒否する東洞…
「ん…なんで?」
「……」
ちらっとこちらに視線を向ける東洞。
その男はそれを追って視線を向ける。
「うわッ!誰だお前ッ!!」
男は、ビクッと驚いて、東洞を庇うように立ち、ポケットから紙切れを取り出して威嚇するように睨みつけてくる。
「優志さん、大丈夫…、僕の会社の先輩です…」
男が持つ紙切れは何か文字が書いてある護符だった。
符を持つその手を抑えて、東洞が伝える。
「はぁ?先輩?なに、上司か?…お前ッ何この家に一般人連れて来てるんだ!」
途端、顔つきが変わり、東洞を怒鳴りつける優志と呼ばれた男。
「ごめんなさい…」
ビクッとしてすぐ謝る。
「しかも、なんだこれは…」
テーブルの上にある食べ物を指していう。
「……」
答えに詰まる東洞。
「おいおい、誰かは知らんが…そんなに怒鳴らなくても…メシは俺が作ってやったんだ、毎日味気ない食事じゃ食欲もなくなるだろ」
そう話す俺を無視して男は東洞に問いただす。
「尊…食べたのか?」
「……」
俯き、小さく頷く。
「俺が持ってくるもの以外は口にするなっていつも言っているだろ、お前も分かってるだろ!?」
「分かってます、でも…国近さんはここにある物で作ってくれたんです…だから、大丈夫…」
「尊…」
威圧的に見て名前を呼ぶ男…
「……」
それに圧され言葉は続けなくなった東洞だが、負けないようにまっすぐ見返している。
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