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32《俺がいればいい》
「…っ、ふ…ぅ」
「尊、泣くなよ…機嫌直せ、メシは?」
部屋に帰ってベッドに伏せている尊の頭を撫でて…機嫌を取ろうとする優志。
「…っ、国近さん…、せっかく、来てくれたのに…ご飯まで、作ってくれて…ッなのに…っ」
「尊…」
それを聞いて顔を顰める。
「…あんな言い方しなくても…っ国近さんに、嫌われたら、どうしよう…」
「あんなおっさん、別にいいだろ…つか、誰でも彼でも家に入れるな、お前が穢れる」
やはり一般の人間を入れるのは許せない。
「国近さんは、とても綺麗なオーラを持ってるんです、だから…大丈夫なのに…」
「大丈夫じゃねーよ、まだ懲りてねぇのかよ…人の心は変わる…あいつだっていつかは…」
「そんなことない…そんなこと…っ」
強く首を振る尊…
東洞さんは、あの人とは違う。
「お前はもう懲りてる筈だろ…誰でも信じるな…」
「…っ」
伏せたまま、また首を振る。
「お前が信じていいのは自分と、俺…天河守家だけだ…」
そっと肩を抱き寄せ…
「ずっとお前を、東洞家を守ってきた結界師の天河守家だけなんだ」
言い聞かせるよう、耳元で囁く…
「分かってるだろ…お前は俺が居なければ生きていけない…」
「……っ」
「俺だけ見ていればいいんだ…」
他と触れ合う必要はない…
お前には俺がいる。
一生をかけて護り続けると誓った俺が…
「……」
「もう、何も考えるな…」
優志は、そう囁いて…尊を抱き寄せ、愛しむように髪を撫でて…こめかみに唇を寄せる…。
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