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41《誰も悪くない》

今日は東洞が時間内に出来なかった昼間の仕事も残っているので少し長めに残業しなくてはいけない。 「東洞、お疲れ、お前は上がっていいぞ」 先に上がらせようと声をかける。 「いえ、僕も手伝います」 「いや、まあ…、正直俺が独りでした方が早く終わるし…」 「うっ…じゃ、見せてください、国近さんの仕事見て覚えます」 たじっとなる東洞だが、さらにお願いしてくる。 「それならいいか…けど早く帰らなくていいのか?アイツが待っているんじゃないのか?」 アイツとは天河守優志… 一緒に暮らしているふうだったから… 「いいです、気にしないでください」 やや強がったような表情… 「そうか…あまりアイツに心配かけるなよ…」 「国近さんは優しいですね…昨日あんな態度とられたのに…怒らないし…」 「アイツも悪気があった訳じゃないだろ、お前のことを心配しての行動だから…」 「分かってます…けど、扱いが…過保護すぎな気もします…」 自宅に縛りつけようとするから… 「まあな、でもお前のことがかわいくて仕方ないんだろう…」 幼い頃から東洞尊のことを結界で守ってきたんだろうから… その思いは昨日今日できる絆とは違う… 「……」 「アイツは住み込みなのか?」 「いえ、優志さんも実家はあるので普段は、食材を持って来てくれたり、結界を直したり、その都度見に来てくれます…」 「そうか…」 「今は…問題が起こったので、しばらくは監視の為にうちに泊まるみたいですが…」 「問題って俺のことか?」 「……」 無言で頷く… 「悪かったな…」 「いえ、僕の方こそ!ごめんなさい…」 「アイツにも、料理、勝手なことをして悪かったって言っておいてくれな」 いままで毎日、東洞の食事の世話もしてきたんだろうから… それは気分を害しても仕方ない… 「……国近さんは悪くないです、僕は本当に嬉しかったから…、誰も悪くない筈なのに…」 「東洞…」 「……」 悲しげな表情で俯いて…言葉をなくす。 「そうだな…誰も悪くない」 そっとその頭を撫で… 「……ん」 「誰も悪くないんだから、いつかアイツにも分かってもらえる、そうしたら、またメシ作りにいってやるから…元気だせよ」 そう肩を叩いてやる。 「はい…」 微笑み、こくんと頷く… それから俺は、仕事に集中し始める。 早く終わらせて東洞を帰らせてやらないといけないから…

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