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第12話

帰り道は弟の話を聞くのが常時だ。 今日、何があったか何をしたか事細かに話す弟は可愛いです。 俺はその話を相槌をしならがら聞いている。 「ただいまー!」 「ただいま」 弟が先に家の中に入る。 奥から母親の「おかえり」という声が聞こえた。 「将(しょう)、ランドセル置いたら手洗いうがいな」 「はーい!」 俺も靴を脱いで中に上がる。 部屋着に着替えて将と同じように手洗いうがいをする。 家にいる母親が風邪をひいたら俺や将、父親の誰かが持ってきたことになるから。 リビングに顔を出せば母親がお茶を飲んでいた。 「おかえり柊」 「ただいま母さん。仕事は?」 「今は休憩中。おかえり将」 「ただいまお母さん!」 まだ中身が入ってるであろうマグカップを持って母親は仕事部屋に戻った。 「あ、そうだ。将おやつあるからそれ食べたら宿題な」 「うん!遊ぶために頑張るよ僕!」 このいい子が誰かの婿になると考えたら今から心が痛い。

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