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第17話

「おはよ、柊!…ヒロ君もおはよ」 「おはよう悟」 いつもより早く悟は登校してきた。 「あれ?龍二は」 「今日は僕だけ。先に行くっていう連絡はしたよ」 なるほど。 いつもは皆が登校してくる時間に来るのに、なぜ今日はこんなにも早いのだろうか。 「…おはよう悟、くん」 少し遅れて転校生が挨拶を返す。 俯きながらだったが、俺は小さくニッと笑い悟は嬉しそうに笑った。 「ヒロ君、ヒロ君は僕のこと覚えてる?」 俺がさっき聞いた質問。 やっぱり自分で聞いた方が確実だよな。 俺は2人の邪魔をしないよう、物音を立てず机に伏す。 寝ている訳では無いから普通に会話は聞こえてくる。 さて、俺からではなく悟本人からの質問に転校生はどう答えるのか。 「お、ぼえ…てるよ。ちゃんと」 声ちっさっ!! 何故そんなに自信なさげなの!? きっと俯いているのだろうと想像出来る。 「僕も覚えてる。僕も全部覚えてる、ヒロ君との思い出は何よりも大事だから…約束も」 悟がそう言うとガタッと机が音を立てた。 きっと転校生が驚いたのだろう。 「嘘、だ…」 「嘘じゃないよ。今までで1番悲しいお別れだったから、ヒロ君のことは忘れないようにしてた!」 あれ?こっからラブコメ始まる? 何か、イチャイチャ始まる? いやいやいや…たとえ静かでも俺の事は視界の隅に移るでしょ。 やめてよ?ここでチューとかすんなよ? 腐男子としてはありがた展開だけど! 俺、母親の前以外では隠してるんだからっ!! …と心の中で悶々とする柊であった。

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