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第20話

休みになって、今日は龍二と悟と遊ぶ日。 俺は龍二に会うのがとても怖かった。 キスされたあの日、学校でずっと龍二を避けるようにしていた。 龍二も自覚があるのか、話しかけては来なかった。 悟に心配されたが何とかやり過ごした。 「はぁ、重い」 今日行くのはショッピングモールだと聞いた。 きっと悟は1人はしゃいで先に行き、それを俺と龍二が追いかけるのはもはや定番となってきていた。 だから最近は俺達のペースで歩くようになった。 「お、柊!」 龍二が手を挙げてこちらに走ってくる。 「龍二!」 駅の時計台の下で待ち合わせ。 俺は頭に疑問符を浮かべる。 「あれ?悟は?」 「ああ。あいつ宿題してないの親と姉貴にバレて今家で勉強中」 「…ご愁傷さまです」 「ふはっ、本当にな」 良かった、いつも通り。 「じゃあ、どこ行く?」 「?何で?」 「だって2人でしょ?2人でショッピングモールはちょっと…」 商店街とか店が並んでる街ならともかくとして。 「ん、そっか。じゃあ俺ん家来る?」 「行くっ!」 龍二の家は案外広くて、綺麗な母親にカッコイイ父親、可愛い妹さんとペットの猫がいる。 龍二の親父は俺にとっての憧れの人。 あんなカッコイイ人に俺もなりたかったりする。 しかしその遺伝子を継いでいるのが隣にいる龍二である。 「着いたぞ、柊」 「お邪魔します」 玄関に入れば龍二の母親が出迎えてくれた。 「あらあら、柊くん。いらっしゃい」 「こんにちは、美佐子さん」 龍二の母親、美佐子さん。 おばさんとは呼びたくなくて名前で呼んでいる。 悟は昔からの付き合いからあだ名で呼んでいた。 リビングに顔を出して、龍二の親父さんに挨拶する。 妹さんはどうやら出かけているようでいなかった。 「先、部屋行ってて」 「ん、了解」 一礼して龍二の部屋に向かう。 「…相変わらず広いなこの部屋」 ベッドの傍に座って龍二が来るのを待つ。

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