食べ終わった食器を流しに置く。 洗おうとしたら父親に止められた。 「将ー！」 「何ー」 俺の元までとことこと歩み寄ってきた。 「風呂入るぞ」 「っ！！兄ちゃんと！？」 「おう。母さん、いいかな」 「いいわよー」 俺は将の頭を撫でる。 「準備して風呂場に集合だ」 「分かったー！！」 将は着替えを取りに自分の部屋に入っていく。 「もう、怒ってないわねあの子」 「だと、いいけど」 「柊くん、長風呂には気をつけて」 「はーい」 俺も準備するために部屋に着替えを取りに行く。 とろとろと歩いていると風呂場から将の声が聞こえてきた。 「兄ちゃんー！」 「今行くー」 先に頭や体を洗って2人で浴槽に浸かる。 「将、もう怒ってないのか？」 「っ、怒ってない」 小声だが反響するため聞こえた。 「良かった。てか、何に怒ってたんだ？」 「〜〜〜〜〜っ！…もうちょっと早く帰ってくるかと思った」 どうやら遊びたかったらしい。 いつも遊んでる気がするが…。 「兄ちゃんにとって家族が1番だが、友達も大事なんだ」 「いなくなったら困る？」 「うん、困る。家族がいなくなってしまったら帰る場所がないし、友達がいなくなったら兄ちゃんは学校に通えなくなるかもしれない」 「それくらい大事ってこと？」 「そう、それくらい大事ってこと」 俺は将の頭を撫でる。 「…分かった。少しは我慢、してあげる」 「うん、そうしてくれると嬉しい。…そろそろ上がるか」 俺がそう言うと将はコクリと頷き浴槽から出た。