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第34話

放課後になっても俺と龍二は悟が戻ってくるのを待った。 二人の間に会話はない。 誰か、この空気を壊してくれええええ! 悟を語れるほど俺は悟を知らない。 下手なことを言ったら怒られそうで怖い。 すると教室のドアがガラガラと音を立てる。 悟が今にも泣きそうな表情で笑っている。 俺は悟に駆け寄り抱きしめた。 「頑張ったな、悟」 龍二もポンポン、と悟の頭を撫でた。 「今日は、みんなで居たいんだけど…無理、かな?」 悟にそう言われて俺は母親に連絡を入れた。 母親は二つ返事で『了解』と返してくれた。 「今、連絡入れたけどどこに泊まるんだ?」 それに着替えもない。 「俺ん家でいいだろう」 龍二が言う。 「いいのか?」 「ああ、悟の方はおばさんが許可くれるだろうし。お前の方は了承得たんだろ?」 「お前の家族は?」 「言わなくても許可出るよ。悟と柊ならってな」 このフットワークの軽さは親譲りだったか…。

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