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第37話

「どうかしたのか?」 龍二の部屋に戻ると龍二に声をかけられた。 「ん?ああ、弟が騒いでたって話」 「…相変わらずのブラコンだな。お前の弟」 「あはは…、でも本当誰に似たんだろう」 「柊のお母さんはそうでもないの?」 龍二と俺の会話に悟が入ってくる。 「母さんはそうでもないかな…あ」 思い出した。 昔母さんが俺に話してくれたこと。 「どうしたの?」 「いや…、多分親父だ」 「?…ああ、弟が親父さんに似てるってこと?」 「そう。普段は温厚なんだけど、母さんが絡むとマジで鬼」 母さんに昔、父さんは母さんを守るために空手を始めたと聞いたことがあった。 それもきっと1種の執着で、母さんへの好意からだろう。 血は争えない。 そこで龍二がボソッと呟く。 「…俺の敵は親父さんと弟か」 その言葉は柊には聞こえていなかったが、悟は不思議そうに首を傾けていた。 悟は心の傷はまだ癒えていないが、とりあえずの元気を取り戻した。 「俺ね、言えてよかった気がする」 「…そうか」 「うん、悲しかったけど今はすげえ気持ちが腫れてるから」 龍二にとって悟は弟みたいな感じなんだと外から見て思った。 うん、やっぱり幼馴染みカプはいいな。 1人で心の中で沁み沁みしていると悟が。 「今度、柊の家行ってみたい!」 と、言い始めた。 「え…」 今はダメな気がする。 「俺も行ってみたい」 と龍二も乗る。 「…正直に言うと」 「言うと?」 「今はダメな気がする」 「え、何で!?」 悟がショックを受けている。 すまん、俺も良いと言いたいが。 「今回の泊まりでこれなら、お前らに何するか分かんない」 被害が出たら困る。 「お前の弟、やべぇな」 龍二が真面目な表情で言う。 それは本当に思うよ…。

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