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第38話
「ただいまー」
龍二の家でのお泊まり会から家に帰れば、頬をパンパンに膨らまし胸の前で腕を組んで仁王立ちしている弟がいた。
そこにいたら俺は家に上がれませんよ?弟くんよ。
「た、ただいま将」
そう言うとプイッと顔をそらされてしまった。
拉致が飽きそうもない。
そう思った俺は、荷物を落ちないように肩にかけてお姫様抱っこで将を持ち上げた。
うん、まだ軽い。
「ただいま父さん、母さん」
お姫様抱っこをしたままリビングに行く。
「おかえり、柊」
「おかえりなさい柊君」
将を抱えていると母親に聞かれる。
「何で抱っこしてるの?」
「玄関前仁王立ちしてて入れなかったから。将、一旦ソファに降ろすぞ」
将はまだムスッとしてる。
今回は長引きそうだな…。
将をソファに座らせて、外から帰ってきたらやることを終えて自分もソファに座る。
その際、将は俺の膝の上。
触れ合うだけ触れ合い、あとは将の機嫌が治るまで待つ。
携帯をいじっているとギュッと抱きしめられた。
テレビの方を向いていた将は、位置を変えて俺の方を向いている。
頭のグリグリは痛いが、可愛いから良しとする。
すると将が一言。
「……楽しかった?」
「うん、新鮮で楽しかったよ」
将の頭をポンポンと撫でる。
「いつか将にも会わせたいんだが…会ってくれるか?」
「兄ちゃんの友人?」
「うん。良い奴だよ、悟も龍二も」
「ふ〜ん…」
反応が薄い。
まだダメだなこりゃ。
それからはご飯を食べて将とお風呂に入り俺の布団で一緒に寝た。
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