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「あー………、負債については、璃音様がもう完済されました」 「は?」 「それに、旦那様に抱かれている璃音様は、かなり可愛らしかったでしょう?」  弓削が苦笑いしている。 「可愛いも何も、そりゃ可愛いけどっ、あんなやらしい事させるなんて許せる訳無いだろっ?  大体、なんで俺の代わりに璃音があんな事されて…っ」 「でも、今、旦那様が夢中なのは璃音様ですよ?  どちらかと言うと、常に奔放なタイプや淫乱なタイプがお好みだった旦那様が、璃音様を抱くようになって、嗜好が変わった。  普段、色気のかけらもないストイックな璃音様が、旦那様に触れられただけで淫らに変わる。  璃音様が、唯一体を重ねた旦那様だけに見せる健気な表情や姿態は、かなり衝撃だったようですから。  以前は、相手との関係を一ヶ月も持たせられなかったのに、璃音様とは一年近く持っている。  相性もあるでしょうが、あれはもう、どちらも離れる気は無い筈でしょうねぇ…」 「一年って…、璃音が14歳の頃からの関係って事かよ?」 「そうですね…。  そこはお二人ともネックだったんですが。  まあ、結果オーライでしたね。  元々成長が遅くてまだ精通もしていなかった、そんな幼い璃音様の初めての相手に自分がなった。 そして、健気で可愛く、体の相性も抜群に良かったのもあって、旦那様ののめり込みっぷりも物凄いですよ?  未だにあの通りですからね」 「………。」 「でも、基本的に璃音様の学業や体調に影響の無い程度になさってますから、そんなに心配されなくても宜しいんじゃないんですか?」 「良・く・な・い・!!」 「まあ、明日というか…日付が変わって今日…は土曜日ですからね。  旦那様達の事は、ゆっくりさせて上げて下さい。  ああ、それと…」 「それと?」 「璃音様の可愛らしい乱れっぷりを見て、思わず射精(だ)してしまったのはあの二人に黙ってますから、シャワーを浴びられてはどうです?  落ち着かれたら、愛人契約のきっかけ等など教えて差し上げますけど…?」 「………わかった」  渋々バスルームに向かう瑠維。  その後ろ姿を眺め、弓削が深く深くため息をついた。  廊下に出ると、龍嗣の部屋のドアが瑠維の目に入る。  書斎で繰り広げられた璃音と龍嗣の行為が、やけにリアルに思い出されて憂鬱になった。

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