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「わかった…。
責任を持って弟さんは預かるからね。
君も大船に乗ったつもりで、治療に専念するんだよ?」
「はいっ!!」
ガッシリと手を組む氷室と瑠維。
その異様なテンションに、璃音が引いている。
大体、その痴漢がした以上のことを、氷室は昨夜散々璃音にしたのに…。
全身に唇と舌と指を這わされ、自分でも殆ど触れない場所まで嬲られた。
啼かされたのは自分だから、どうしようもないけれど、脳髄まで蕩けるような行為をした氷室が、自分を棚に放り投げて瑠維に宣言しているのを見て、流石に呆れる。
『………僕、甘噛みする相手、間違えたのかなあ…』
口の端を引き攣らせながら、璃音が床にへたりこむ。
「直情馬鹿二乗の図…、と言った所でしょうかね…」
弓削だけが、冷ややかな眼差しで氷室と瑠維を見ていた。
「頭が痛いよ、僕…」
額を押さえて璃音が呟く。
「ま、あの二人が協定でも結んでくれたら、後々楽ですからね…」
こっそりと弓削が璃音に囁いた。
「何となく、痴漢に遭ってそうだとカマをかけただけなんですが、本当に遭ってたとは…。
その痴漢、水上の一族で捜し出して八つ裂きにでもしてやりましょうかね…」
クスクス笑い、弓削が物騒な発言をする。
が、璃音が更に物騒な発言をした。
「もうボコボコにしちゃったよ」と。
鬼夜叉の子はやはり黒豹のようだ…。
「噛んでも噛まれてもない相手に、撫で回されたり揉まれたりしても、何にも感じないでしょ。
ただ不快なだけだったよ…」
だからといって、撫で回されるままになっていいわけではないのだが。
瑠維が同意してくれればそれで暫くは平和なので、璃音と弓削は氷室と瑠維を放置することにした。
異様なテンションで盛り上がった氷室と瑠維が、意気投合したあと…。
三人が向かったのは、璃音が通学している中学校…ではなく、研究室がある大学だった。
(元々、大学付属の中学校なので、どちらも同じ敷地の中だったが…。)
理系棟の配置図には、璃音の名前のプレートが確かにある。
7階の左側…やたら賑やかなドアの前に行くと、璃音はカードキーを二枚差し込み、パスワードを入れる。
ドアが開くと、賑やかな原因…色とりどりのメモを剥ぎ取り、氷室と弓削を招き入れた。
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