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白と青で統一された室内は天井までの高さの本棚があり、入口左側から窓際まで続いている。
広さは、大体30畳ほど…一介の学生に宛がわれるにしては、広すぎると感じた。
工業系の本が本棚の2メートルくらいまでの高さににギッシリと並び、その上からは様々な模型が所狭しと並ぶ。
椅子を二人にすすめ、璃音は紅茶を煎れている。
「すみません、ゴチャゴチャしていて…」
足元にも蠍や百足状の模型が転がる。
殆どが昆虫、節足虫型の模型の中で、一つだけ趣向の違う物………リアルな黒猫があった。
「みあ、ご挨拶は?」
璃音の声に、机の上に座っていた猫が目をパチクリさせる。
チロリと二人に視線をくれてやり、尻尾を振った。
「縫いぐるみじゃなかったのか…」
喉元を撫でてやると、ゴロゴロ喉を鳴らし体を擦り寄せてくる。
毛並みも上等で、触り心地も抜群なのだが…表情が微妙に猫っぽくない。
しかも。
「アナタ達はだあれ?」
尻尾をパタパタさせながら、言葉まで発した。
「「……………っ!?」」
「その子は"みあ"。
猫型のロボットです。
ポケットはついてませんけど」
「璃音、ワタシをあんな狸みたいな子と一緒にしないで欲しいワ。」
背中の毛を立てて、尻尾をパタンパタンと振りながら、本気で怒っている。
床の上をしなやかに歩き、ひょいと璃音の肩に乗る。
動作の一つ一つは、普通の生身の猫と変わらない。
「どうぞ。」
璃音が二人に紅茶を差し出した。
「その猫は、君が?」
「はい。
セラピー用の動物が入れない場所用に。
コミュニケーションを取ったり、欲しい物を引き寄せる介助もします。」
「ワタシは、もっと大きい体がよかったのよ?
璃音の意地悪っ」
たしたしと、前足で璃音の頭に猫パンチをしている。
「君の希望通りにしたら、デカすぎるんだってば。
それに、外に連れ出すと大騒ぎになっちゃうよ…」
苦笑いしながら、ドアに貼られていたメモを検分している璃音。
緊急の物と後回しでも良い物をより分け始める璃音を見て、ため息をひとつつき。
「引っ越し先に着いたら、リミッター解除してよねっ!!」
璃音の髪を尻尾でピシリと叩き、猫は弓削の膝に飛び乗った。
「撫でてもいいわよ?」という雰囲気で、チロリと弓削をひと睨みして座る。
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