44 / 454
・
メモを仕分け、次は起動しておいたパソコンを操作し、データを落とす。
もう一台のパソコンでは、緊急のメモの用件を処理しているようだ。
「もう、お客様を放ったらかしな訳?」
ぷりぷり怒る猫を一瞥し、視線を画面に戻す。
「みあ、お相手お願い」
必要最低限の言葉になり、さっきまでの子供子供した璃音と様子が違う。
次々メールを送信し、メールで無理な物はプリントアウトする。
「すみません、ちょっと行ってきますっ」
紙の束を持って、璃音が出て行った。
「………何処にいったんだろう」
「さあ…?」
「どうせ教授の所よ。
…ねえ、貴方達のどっちが璃音の番いの相手なの?
まさか、そっちのスケベそうなアナタじゃないわよね?」
ぶふうっ!!
氷室が紅茶を吹いた。
「ちょっと!!
まさか、そうなのっ!?
璃音、趣味悪すぎじゃないっ!?
だって、自分のパパと似たような年頃で、エロさ駄々漏れの男が番いの相手なんて、“遊びでもいいから付き合って”って、言ってるのも同じじゃないの~っ!!
だから、荊櫻に気をつけろって言っておいたのよ、ワタシっ!!」
一気にまくし立てる猫に、弓削が大笑いしている。
まさに、一族の者や、璃音の母が危惧していた内容そのままだったから。
氷室は苦い顔のまま、沈黙している。
「まさか、璃音…食べられちゃったワケ?
そこの駄々漏れエロ魔神に?
嫌ぁ―――ッ!!
まだお子ちゃまの璃音に手を出すなんて、どれだけエロいのよ!!」
「かなり美味しく食べられたようですよ?
昨夜は、璃音様の可愛らしい啼き声が…」
「きゃ―――っ、嫌あっ!!
純真無垢な璃音に、何してくれたのっ!?」
背中の毛を逆立て、氷室に飛び掛かると、顔中に猫パンチが炸裂した。
ぴしぴしぴしぴし!!
「痛い痛い痛い痛い痛い」
「まさか、最後までしてないんでしょ?
してないわよね!?」
ぴしぴしぴしぴし!!
「痛い痛い痛い痛い痛い」
「ちょっと!!否定しなさいよっ!!」
「みあさん、旦那様は途中で食べ残す事はありません。
最後まで、きっちりとお召し上がりになりました。」
弓削がとどめを刺し、猫は両手を頬に当て、ムンクの叫び状態になっている。
ともだちにシェアしよう!