46 / 454

 パソコンデスクの端に腰掛け、璃音はひと息ついた。 「みあのボディを作った時、僕はまだ思考パターンを作るのが苦手だったので…」 「いつ頃作られたんですか?璃音様」 「六歳の時です」 「………」 「六歳で、そこまでプログラミングは無理だろ、璃音」 「いえ、水上の一族なら出来る人間がいます。  頭の中に偏りがある人間が多いので…。  僕の場合は機械の方は得意なんですが、プログラム系統が苦手だったんです…」  苦笑いをして、パソコンの電源を落とす。 「ああ、そういえば…。  この部屋にあるもので、氷室重工の商品になりそうな物はありますか?」 「…模型ばかりだろ…?  蠍とか百足とか蜘蛛とか…。」 「うーん…。  そうなんですけど…。  百足は災害救助メカで、蜘蛛は地雷撤去メカで…。  ああ…、やっぱり使えないか…」 「は?」 「こっちは使えそうかなぁ…?  反重力方式の…」 「璃音、もう一度教えてくれ。」 「え…、百足が災害救助メカで。」 「うん。」 「蜘蛛が地雷撤去メカ…」 「…旦那様、氷室重工の開発部門が手詰まりしていませんでしたか…?」  大人二人が唸っている。 「璃音」 「はい…?」 「その蜘蛛は、すぐに動かせるのかい?」  小さく頷く。 「…出来ます。  実験棟で試してみますか?  マム、おいで」  蜘蛛に呼びかけると、微かな機械音と共にスルスルと降りてきた。  璃音の掌二つ分のサイズの蜘蛛で、綺麗なエメラルドグリーンをしている。  床から璃音の足にしがみつき、器用に昇って璃音の頭に乗っかった。  実験棟に向かい、地下の爆発物対応シェルターの使用許可を取る。  難無く許可が下り、シェルターのコントロールルームに通された。  爆発物の管理スタッフも同席し、分厚いガラスの向こうのフィールドに、爆発物…地雷が設置されていく。  上からは解らないよう、地下の部分で設置された。 「璃音さん、設置はランダムで良かったですね?」 「はい」  璃音が頭の上の蜘蛛を手に取り、「マム、お願いするね?」と、頭を撫でてやると、嬉しそうにあちこちが輝き、フィールドに出て行った。

ともだちにシェアしよう!