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パソコンデスクの端に腰掛け、璃音はひと息ついた。
「みあのボディを作った時、僕はまだ思考パターンを作るのが苦手だったので…」
「いつ頃作られたんですか?璃音様」
「六歳の時です」
「………」
「六歳で、そこまでプログラミングは無理だろ、璃音」
「いえ、水上の一族なら出来る人間がいます。
頭の中に偏りがある人間が多いので…。
僕の場合は機械の方は得意なんですが、プログラム系統が苦手だったんです…」
苦笑いをして、パソコンの電源を落とす。
「ああ、そういえば…。
この部屋にあるもので、氷室重工の商品になりそうな物はありますか?」
「…模型ばかりだろ…?
蠍とか百足とか蜘蛛とか…。」
「うーん…。
そうなんですけど…。
百足は災害救助メカで、蜘蛛は地雷撤去メカで…。
ああ…、やっぱり使えないか…」
「は?」
「こっちは使えそうかなぁ…?
反重力方式の…」
「璃音、もう一度教えてくれ。」
「え…、百足が災害救助メカで。」
「うん。」
「蜘蛛が地雷撤去メカ…」
「…旦那様、氷室重工の開発部門が手詰まりしていませんでしたか…?」
大人二人が唸っている。
「璃音」
「はい…?」
「その蜘蛛は、すぐに動かせるのかい?」
小さく頷く。
「…出来ます。
実験棟で試してみますか?
マム、おいで」
蜘蛛に呼びかけると、微かな機械音と共にスルスルと降りてきた。
璃音の掌二つ分のサイズの蜘蛛で、綺麗なエメラルドグリーンをしている。
床から璃音の足にしがみつき、器用に昇って璃音の頭に乗っかった。
実験棟に向かい、地下の爆発物対応シェルターの使用許可を取る。
難無く許可が下り、シェルターのコントロールルームに通された。
爆発物の管理スタッフも同席し、分厚いガラスの向こうのフィールドに、爆発物…地雷が設置されていく。
上からは解らないよう、地下の部分で設置された。
「璃音さん、設置はランダムで良かったですね?」
「はい」
璃音が頭の上の蜘蛛を手に取り、「マム、お願いするね?」と、頭を撫でてやると、嬉しそうにあちこちが輝き、フィールドに出て行った。
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