49 / 454

 地雷撤去メカや災害救助メカなどの大まかなデータ等は、教授の了解を得てから貰う事にして、三人は大学を後にした。  昨夜の疲れと、瑠維の経過が順調な事で気が緩んだのか、車が動き出してすぐに璃音の目がトロトロとし始める。 「眠っちゃいけない、でも眠い」という状態で、一生懸命睡魔と格闘しているのだが、程なくして瞼が完全に閉じてしまった。  その、睡魔に必死で抗う様をミラー越しに見ていた弓削は、口元が綻ぶ。  眠りに落ちた璃音は、シェルターで実験を仕切っていた時に比べて幼く見え、無邪気な寝顔をしていた。 「旦那様、これを璃音様に…」  信号待ちの間に、膝掛けを氷室に渡す。  知らない内に寝入った璃音の無邪気な寝顔を見て、氷室が破顔する。  可愛らしく、淫らさのかけらもない寝顔にキスを落とし、唇を離そうとした時…。 「…ん……う…?」  鼻にかかった甘い声が、璃音の唇から漏れた。  ぞくり。  背中に走る甘い痺れ。  薄く開いた唇に、もう一度唇を重ねて舌を差し入れると、遅れて、璃音の舌が氷室の舌に触れてきた。  ちゅく…ちゅくちゅく…。  互いの舌が深く絡まる音と、甘さを増した吐息が聞こえる。 「ん……んんん…、うく…ん…っ」  璃音の口腔から溢れた唾液が、唇の端から零れて顎に伝い、伏せられた睫毛が震えている。 「ふ……、ぅ…んん、ん…」  弓削がミラー越しにそっと見ると、結び合わされた唇の隙間から、愛しげに絡み合う舌が覗き、強く吸われる度に、璃音の吐息が甘くなる。  うっすらと開いた璃音の目が、間近にある氷室の顔に驚き、見開かれ、深い口づけに潤んでいく。  シートに投げ出されていた手が、氷室の頬に優しく添えられ、与えられる口づけを素直に受け取る。  何度も何度も啄み合い、舌を絡ませ、息も唾液も混ざり合う。  淫らな口づけだった。  璃音が反応を示し始めたので、氷室は一旦唇を離す。  唇が自由になった璃音は、口腔に満たされた二人分の唾液をゆっくりと飲み込み、コクりと咽を鳴らした。  無意識に氷室を誘うような淫らさで…。 「ん…っ」  唇の端から零れた糸を氷室が舐め取っていく。  唇から顎へ、顎から首筋へと氷室の舌が這い、サワサワと背中を駆け上がる感覚に、璃音は両膝を擦り合わせて震えた。

ともだちにシェアしよう!