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小猫がミルクを舐め取るような、そんな仕種だったのに…。
璃音が舌先で唇をなぞった行為は、氷室の理性を飛ばした。
夢中で唇を貪りながら、璃音の服を捲り、輪を描くように脇腹を指で撫で上げる。
「ん…ッ!!」
肌が触れただけなのに、それが愛しい男の手だというだけで、体が捩れ息が乱れる。
もっと。
触れて欲しい。
甘く疼く体に。
璃音は、脇腹をなぞる手を掴み、もっと触れて欲しい場所へ滑らせた。
「どうした?」
「……」
固く芯の通った蕾に触れているのに、氷室はわざと知らないふりをする。
「璃音、どうして欲しい?
教えてくれなきゃ解らないだろ?」
羞恥で赤くなった顔が泣きそうになっているのに、言わせたくて知らないふりを続ける氷室。
「ここ…、さわって…。昨日みたいに…」
「じゃあ、されたい事をして見せて?
そしたらしてあげるよ」
必死で懇願しているのに、されたい事をして見せろと言われ、ますます泣きそうな顔になる。
「見せて…」
服を捲り上げ、璃音の胸を露わにしてやり更に促す。
氷室に見られているだけで体中に甘い疼きが走るのに、そんな状態で自分の体に触れたらどうなるか、考えただけで顔に火がついた様になる。
「璃音、して見せて」
「言ってみせろ」ではなく、「してみせろ」と言い切る氷室。
暫く悩んでから、璃音は覚悟を決めたように、胸元に手を滑らせた。
中指の腹で、芯の通った蕾に触れる。
「ん…っ」
ゆっくり指を滑らせ蕾を転がし、時折、指の腹で捏ねる。
余りに恥ずかしくて顔を背けると、顎を掴まれて正面に向かされた。
してほしい事を自ら見せている上、羞恥と快感に歪む顔まで見られるのは、本当に恥ずかしいのに。
ジーンズの中では、璃音の欲望も熱を持ち始め、余計に璃音を昂ぶらせる。
「ん…、んん…っ」
指を増やし、転がしていた蕾を摘むと、自然に腰が揺れた。
「龍嗣…、して…、お願い…」
潤んだ目から涙が落ち、甘い吐息が零れる。
「龍嗣ぃ…っ、あ…っ、もう無理…っ、欲しいよぅ…」
「何が欲しい…?」
「龍嗣の指…っ、と…、手と…、キス…っ、欲しい…」
「それだけでいい?」
「…抱いて…っ」
「いい子だ…」
必死のねだりに、ご褒美代わりの唇が重ねられた。
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