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 ようやく与えられた口づけに小さな躯が震えた。  我慢の限界になったせいでなんとも大胆な事を言ってしまい、真っ赤な顔のまま唇を離すと、氷室の胸に顔を埋めてしがみつく。 「璃音、顔を見せて欲しいな…」 「………」  その顔が見たくて上向かせようとするのだが、ギュッとしがみついた璃音は、耳まで赤くなったまま剥がれない。 「璃音?」 「………っ」  微かに頭が左右に振られ、ますます耳が赤くなる。  言ってしまった事を思い出して、顔を上げられなくなったのだ。  あまりの可愛い反応に、つつき回したい所もあるが、確実に薮蛇になりそうな気がして璃音にジャケットを被せた。  そのジャケットごと璃音を抱き上げ、自分の部屋へ向かう。  ドアにガッチリ施錠し、二間続きの奥の寝室に入り、そのドアもきっちり閉めた。  大きなベッドに膝をついて璃音を横たえ、艶やかな髪に口づける。 「璃音、力を抜きなさい」  ガチガチになった体を組み敷き、髪や額、耳に、唇で時間をかけて触れると、少しずつ強張りが解け始めた。 「うぅ…、恥ずかしいよぅ…」  氷室の服から外した手で真っ赤になった顔を隠し、上にいる氷室の体の下から逃げようとする。  体が少し捩れた所を捕まえられ、顔を覆っていた手も氷室に掴まれてベッドに押さえつけられた。 「こら、あんまり焦らされると、ますます虐めたくなるじゃないか…」  ほんの少し震える唇を啄み、角度を変えて何度も口づける。  舌で唇を割り、璃音の口の中をやわやわとなぞってやると、少しずつ吐息が甘さを増してきた。 「ん……。  んぅ………っ、ふ…ぅ…っ」  絡められた舌に体が蕩け始め、四肢の強張りもほどける。  ベッドに縫い付けるように押さえた手を離し、氷室は首筋に舌を這わせながら璃音の服の釦を外した。  緩められた喉元に口づけていると、昨夜つけたはずのキスマークが消えている。  しかも、服の隙間から見えそうな部分が全て…。  初めての璃音が思い付く訳も無く、消去法でいくまでもなく、気を利かせたのはただ一人しかいない。  弓削…。  首筋を指で擦るとファンデーションが落ち、紅い印が現れた。 何となく、弓削の心遣いに腹が立ち、氷室は璃音を抱き上げてバスルームに駆け込んだ。

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