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 チュクチュクという水音が耳を打ち、璃音は恥ずかしさに身を捩った。  龍嗣の口に含まれ、指で追い上げられる度、愛される悦びが身の内を灼く。 「龍嗣、僕…」  喘ぎながら、弱々しく囁く声が、龍嗣の手を止めさせた。 「どうした…?」  力の入らない腕で体を支え、何とか起き上がった璃音は、はくはくと唇を震わせて息を整える。  貧血の様な状態でフラつきながら、龍嗣の手を握った。 「璃音…?」  腕の中にフラつく体を抱き寄せ、息がしやすいように体勢をずらす。  ゆっくりと、璃音の呼吸が穏やかになり、次第に深い呼吸になった。 「は…、危なかった…」  深く息をつき、汗でびっしょりになった璃音は、龍嗣にもたれかかる。 「……龍嗣」 「…?」 「僕ばっかり気持ち良くなるの、おかしいでしょ…?」 「………?」 「龍嗣にも、僕と同じ位気持ち良くなって欲しいよ…」  もう一度深く息をつき、璃音は龍嗣の唇を啄む。  そうっと重ねた唇は、龍嗣の首筋や肩、二の腕、掌へと移り、胸元に、脇腹に、臍周りに口づける。  快感や欲望を引きずり出すような、淫らなキスではなく。  穏やかな優しさと愛情を龍嗣に捧げるように。 「ねぇ、龍嗣」 「ん……?」  熱が篭り始め、声が上擦る。 「僕も、龍嗣の…」  真っ赤な顔を龍嗣に向け、璃音がはにかんで笑う。 「僕も…龍嗣の事、気持ち良くしていい…?」  淫らさの欠片もない純真な顔が、龍嗣を見上げてくる。  その穏やかな表情に、心臓を鷲掴みにされた気がして、反射的に龍嗣は頷いた。 「ありがと、龍嗣」  心臓の真上に口づけながら、龍嗣の胸に触れていた手が少しずつ滑り降りる感触に、肌が粟立つ。  いつも相手に対してがっついてばかりの自分が、未だ14歳の子供に「気持ち良くしたい」と言われたのも、かなり衝撃だった。  服地の上から雄刀に指が触れ、体が跳ねる。  柔らかく、包む様に触れられるだけで、どんどん息が上がり、もっと触れられたくなった。 「璃音…っ」 「なぁに…?」  龍嗣は、璃音の額に口づけを落とし、全身を苛む疼きに堪えながら囁く。 「直に触れて欲しい…  璃音の指と唇で、触れてくれないか…?」  龍嗣の掠れた声を受け、璃音は下着の中で張り詰めた場所に恭しく触れ、やんわりと指を絡めた。

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