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「な…んで…!?」  璃音の顔から、どんどん血の気が引いていく。  愛しい男の口が紡いだ言葉は、一番聞きたくない内容だったから。 「やだ…、やだよ…っ!!  そんなの…龍嗣、何で解除?  僕…、子供だから?  龍嗣には、やっぱり物足りない…!?」  次々に涙が溢れて止まらない。  それ程に悲しく、心臓が潰されそうで璃音は龍嗣に詰め寄った。 「龍嗣…、お願いだから解除しないで…、ん……ぅっ!!」  龍嗣が璃音をきつく抱きしめ、口づけを落とした。  存分に舌を絡ませ、簡単に理性を奪い取るような、激しいキスを。 「たった一昼夜…」 「………?」 「たった一昼夜だぞ?」 「龍嗣…?」 「本気で君に溺れたなんて、信じられないだろ…?」  話が読めない璃音は、龍嗣の腕の中でじっとしている。 「何一つ知らない無垢な君を手放したくない位に夢中になるなんて、誰が予想した?  弓削が、君に最大限有利になるように頑張っていたが、それでも君には不利な条件だったのに、ひっくり返して夢中にさせられたんだぞ? もう、愛人なんかで我慢が出来ると思うか…?」  璃音をベッドに押し倒し、覆いかぶさりながら深く口づける。 「んんん…っ!!」  自分の中で渦巻く感情を篭めて強く吸い上げた後、はくはくと喘ぐ璃音の両頬を掌で包む様にして、龍嗣は苦笑いをした。 「君を愛人のままにしておきたくないんだ。  こんなに愛おしい相手を得るなんて、思わなかった。  錯覚なんかじゃない。  愛してる。  愛人じゃなく、恋人になってくれないか…?」  ゆっくり、噛む様に、璃音に告げる。 「………………」  状況が読めずに、硬直している璃音に、もう一度囁く。 「賭けは、君の勝ちだ。  愛してる。  恋人になってくれ」  甘やかに告げた。 「………っ!?」  ポロポロと、大粒の涙が次々溢れ、璃音が泣き出した。 「し…、心臓に悪い言い方しないでよ…」 「すまない。  ちょっとした仕返しのつもりが、かなり…」 「龍嗣の馬鹿………っ!!」  大泣きする璃音を宥めながら、龍嗣は思った。  こんなふうに、無垢で純真な璃音に身も心も囚われた自分は、最上級の幸せを手に入れたのかもしれないと…。

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