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「………と、言う訳で、璃音様は僅か一昼夜で旦那様を落とされたんですよ」  行為の内容や弓削と璃音の間のやり取りを端折って、弓削は瑠維に説明を終えた。 「………あのオッサンが、璃音に落とされた話は分かったけど、借金はどうやって返したんだよ…」 「璃音様が開発された次世代ハイブリッドエンジンや車体デザインは、ほぼそのまま実用化出来たので、発売までの手間が少なかったんです。  あと、防衛省からの発注だった、地雷撤去メカも大当りしまして…。  ああ…、改良型のロケットエンジンも大当りでしたからねぇ…。  半年後には利益だけで完済出来ました」 「………」 「常識外れの天才エンジニアと、最愛の恋人を得ましたからね。  旦那様も璃音様を食いっぱぐれさせないように、必死で社長として働きましたし。  本当に半年で数年分の利益を上げたのは、私も重役連も驚愕しました。  ま、璃音様が恋人なのは内緒ですがね」  濃いめのコーヒーを飲みながら、弓削は苦笑いする。 「璃音が大学に遊びに行ってんのは知ってたけど、そんなの開発してたなんて…」 「璃音様の場合は13歳で論文も出されてらっしゃいますし…。  元々、教授預かりになってたのも、将来の教授候補として人材確保されていたからのようですよ」 「あいつは、まだ子供だぞ…?」 「年齢は関係ないでしょう?  今、優秀な人材はどんどん海外に流れているんです。  将来の有望な人材は、早めに捕まえておくに限るでしょう?」 「ごく普通の子供の筈なんだけどな…、アイツ…。  ただ単に、機械いじりが好きって言うか、機械オタクなだけと言うか…」 「普通に可愛い弟にしか見えませんか…?」  見た目が幼い分、瑠維には普通に見えていたようで、龍嗣と恋愛関係にあったり、エンジニアな一面があったのは、意外だったようだ。 「旦那様の役に立ちたい一心で、次々璃音様も設計するは、開発するは…。  氷室重工の業績はうなぎ登りですし、璃音様の尽くしっぷりも凄いですが、旦那様の営業っぷりも凄まじいものがありましたからね…」  うっそり笑う弓削。  弟は、もしかして、かなり悪趣味なんじゃないかと、背中が寒くなった瑠維なのだった

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