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 龍嗣は璃音を自分の部屋に運んだ。  璃音の部屋よりはリビングにも近く、弓削が介助に入っても楽だろうと思ったからだった。  ベッドに片膝を乗せて璃音の制服を脱がせていると、心得たように弓削が入って来た。 「旦那様、璃音様のパジャマです。  あとは、冷却シートと水分もありますがお手伝いいたしましょうか?」 「頼む」  くったりとなった体からワイシャツやボトムも脱がせ、龍嗣が璃音を横たえると、弓削が肌触りの良いタオルを手渡した。  龍嗣が汗を拭き取っている内に、弓削が熱を測る。  38.7℃を示しており、腋の下や鼠勁部、額に冷却シートを貼り、急いでパジャマを着せた。 「思ったより高いですね…。 往診を頼みましょう」  璃音に毛布をかけてから、弓削が出ていく。  勝手知ったるホームドクターなので、大体の事は目を瞑ってくれる。 「璃音、何か口に入れるかい?」  うつらうつらとしている璃音に声をかけると、首を横に振る。  食欲も落ちたままなので、とりあえずイオン飲料を口移しで飲ませた。 「ありがと…」掠れ声で一言囁くと、璃音はそのまま気絶するように寝入ってしまった。  程なく、ホームドクターの白川がやって来て、璃音を診察し、 「何をやらかしたかは大体想像つくが、極度の疲労、栄養不足、脱水気味、それと拗らせた風邪だな」  との診断結果を下した。  水分と栄養成分の点滴を施し、風邪薬、気管支拡張剤等の薬も処方して、ついでに龍嗣に雷を落とす。 「遅れ気味の成長が始まってる子供を、あんまり啼かせるな。  少しは慎んでやらないと、本当に抱き殺す事になるぞ?  咳も出来ない位、弱らせるな。  それと、やっと背が伸び始めたのに、成長を止めるような真似は止めろ」  …と、龍嗣に沢山の雷を落としてから帰って行った。  錠剤を飲めない状態だった璃音に水薬を飲ませたあと、傍にいたら手を出したり突っつきかねないからと、弓削とメカ猫の"みあ"に追いやられ、龍嗣は出勤させられた。 「バッカじゃないの!?  アナタみたいなエロ魔神が傍にいたら、璃音の具合が良くなる訳ないでしょ!!  余計に悪化するワよ!!  もーっ、邪魔だから、キリキリ働いて来なさいよっ!!」  と、猫にまで説教されて、仕方なく出勤したのだった…。

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