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 弓削が龍嗣に説教をした後…。  30分間隔で経過を見ながら氷嚢を交換したり、水分補給ゼリーを口に含ませたりした龍嗣と弓削。  昼過ぎになり、クリニックでの診察を終えた白川医師が来ると、主に弓削が経過を説明し、龍嗣は部屋の隅に小さくなった。 「…3時間前は40℃で、今は39.1℃まで下がって来たと。  水分も頑張って取らせたみたいだし、あとは熱が下がるだけだと思うが…。  体力が落ちているから、夜中にまた熱が上がるかもしれないぞ?  どうする?一応入院させようか?」 「私は構いませんが、問題は…」  弓削の視線は、璃音の胸元に散ったキスマークに向いている。 「そうなんだよ…。  まだ小学生にしか見えないのに、キスマークまみれというのがな…。  ウチのナース達も、これはちょっと、な…。  虫刺されや皮膚炎だと言っても、ごまかし切れないだろうし…」  白川も「入院させるぞ」と言ったものの、困惑を隠せない。 「なら、白川先生の所の、あの方はどうです?  彼なら、多少の事は気にしないような感じを受けますが…」 「………そうだな。  小鳥遊(たかなし)なら動じないだろうし、余計な事も言わないような…。  一応聞いてみるか…」  白川が玄関ホールで待機していた男性を呼びに出た。 「小鳥遊くん、ちょっと来てくれるかい?」 「あ、はい…」  薬剤などが入ったバッグを片手に、長身の男性が階段を上ってくる。  程よく筋肉のついた長身で体育会系に見えるが、決して「頭の中まで筋肉タイプ」ではなく、知性や思慮深さが読み取れる瞳をしている。  ちょっと気の強さが覗く目は、切れ長の二重だ。 「失礼します。」  部屋に入ってきて、白川の隣に立った小鳥遊は、ペこりと頭を下げた。 「うちで預かっている研修医の小鳥遊玲(たかなし れい)。  小鳥遊くん、こちらは氷室さんと秘書の弓削さんだ」 「はじめまして、小鳥遊です。  白川先生の所で研修をさせて頂いております。  どうぞ宜しくお願いします」 「はじめまして、こちらは主の氷室、私は秘書の弓削と申します。  何度もご足労をおかけして、申し訳ありません」  一通り挨拶が済むと、白川が小鳥遊を璃音の近くに連れて行った。

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