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「まず、先に言いたい事があるぞ、忍。  ………お前はマゾかっ!?  甘噛みした相手がここまで嬲られているのを、指をくわえて見てたのか!?  こんな仕打ちを受けてるってのに、よく我慢が利くぜ。  俺だったら、速攻ドアを蹴破ってコイツを連れ出してるぞ!?」  小鳥遊は弓削の肩を掴み、前後に揺する。  予想外に強い力だったので、弓削の頭部はガクガクと前後に振られた。  ただ、璃音が起きてしまわないように小声で切れているあたり、一応気を遣っている小鳥遊。 「ええ、名前の通り堪え忍びましたとも。  途切れ途切れに聞こえる璃音の啼き声を聞かされて、流石に頭がおかしくなるかと思いましたよ。  実際、蹴破ろうかとも思いましたが、あの男と繋がっている現場を見られてかなりショックを受けてましたから、やめたんです。  無理矢理番いの相手から引き剥がすのは、璃音様の精神を根底から引き裂く事にもなります。  だからこそ、私は手を出さなかったんですよ?  それに、無理矢理引き剥がす事は、水上本家からも禁じられているのをお忘れなく」 「ふ・ざ・け・ん・なっ!! 璃音が選んだ相手を優先なんだろうが、これは明らかにやり過ぎだ!!  文字通り抱き殺す気なんじゃないのか、あの男は!?  茶々入れられたからったって、二日間ヤりまくるってな、どういう事だ、あ!?  まだロクに成長してもいないガキを捕まえて、どんだけサカるつもりなんだ、アイツは!?  何時まで璃音をあんなケダモノの傍に置くつもりだ、お前!!  俺だけじゃなく、残りの奴らだって、もう精神的に限界が来てるんだぞ!?  いい加減にしろよなっ!!」  深くため息をつき、弓削はゆっくり、言葉を噛むように話す。 「あなたの怒りの程は、良~く解っております。  私も、今回の事は腹に据えかねて、重々言い含めましたので、それで収めて下さい。  それと、まずは、璃音の体調管理について話をしておきませんか?」  頭に血が上っている小鳥遊を宥め、弓削は熱でクタリとなったままの璃音を指し示した。 「おっと、本題を忘れちゃいかんな…」  璃音の呼吸音や血圧、血中酸素量などもチェックしつつ、弓削が逃げ出さないように見張る小鳥遊。  一通りチェックを済ませ、少し落ち着いて来ているのを確認し、小鳥遊は寝入っている璃音の額に自分の額をそっと当てた。

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