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「ん、熱は下がってるけど、まだまだ高いな。
しっかし、睫毛バッサバサで相変わらず可愛いな~、コイツ…」
少し角度を変えて、軽く唇を重ねてみる。
チュ…ッ。
深く眠る璃音は、全く抵抗する事もなく小鳥遊にキスをされまくっている。
「…ん………、ふ……、ぅ…?」
流石に息苦しくなったのか、璃音が薄く目を開けた。
「………………?」
状況が読めないのと、龍嗣や弓削以外の人間が自分に口づけをしていることに驚き、硬直している。
尚もキスを落とそうとしている小鳥遊の襟首を掴み、弓削が小鳥遊を璃音から引っぱがした。
「ぐぇ…っ!!」
喉元が絞まり、咳込む小鳥遊を敢えて無視をして、弓削は璃音にそっと口づける。
「………?」
「所謂、口直しという事に致しましょうね、璃音様」
「………はい?」
高熱で、まだ朦朧としている璃音は、何があったのか状況が読めていない。
焦点の定まらない目で、弓削と小鳥遊を交互に見て、何となく腑に落ちたような、落ちてないような、微妙な顔になる。
「………もしかして、僕を…甘噛みした………人…?」
龍嗣よりも背が高く、少し怖そうな人だと璃音は思った。
「そうです。
彼は小鳥遊玲…。
あなたを甘噛みした六人の内の一人です。
見た目は怖そうですが、あなたにだけはベロベロに甘いので、ご安心下さいね?」
「どういう紹介の仕方だよ…」
喉元を摩りながら、小鳥遊は呻く。
「たか…な…し…さん?
もしか…して、白…川先生の…クリニックに…いる、若い先生…?」
「そうだ。
研修医の兄さんだぞ?
人前ん時はしょうがねえけど、俺の事は"玲"って呼んでくれよ。
お前にだけは、名前で呼ばれたいんだ」
璃音の額を大きな手で撫でる小鳥遊の顔は、弓削に向けられたものと全く違い、蕩けそうなものになっている。
「玲…さん?」
「"さん"も要らないぞ。
名前だけで呼んでくれたら、凄く嬉しいんだけどな…。」
「………玲…」
「いい子だ」
ますます蕩けそうな顔になった小鳥遊が、璃音の額に自分の額をグリグリ擦り合わせた。
「ホントに可愛いぞ、お前…」
切れ長の目が細められ、間近で蕩けそうに見つめられて璃音はなんだか落ち着かない。
弓削より少し年上のようなのに、「可愛い」と感じた。
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