86 / 454
・
「夜の闇を溶かしたみたいな綺麗な目だな。
赤ん坊の時と、全然変わらない…。
ベルベットとか黒曜石みたいな、綺麗な闇の色…鬼夜叉と同じだ…」
うっとりと見つめられて、璃音は心臓が跳ねた。
「なあ…、璃音、キスしていいか?」
「………へ?」
「嫌なら途中で拒んでも構わないからさ、もう少しキスさせてくれよ。
ずっと待たされて、焦れ焦れしてさ、頭沸騰しそうなんだ」
額を合わせたまま、小鳥遊が切なそうな表情をする。
「玲…も、禁断症状…?」
「そ。
璃音だけが欲しくて、頭おかしくなりそうだ。
だから、キスさせてくれよ…」
少し潤む鳶色の瞳に熱っぽく見つめられて、璃音は自然に頷いていた。
「サンキュ…」
弓削にせがまれた時のように、逆らえない…。
目を伏せ気味にしていると、軽く試すように小鳥遊の唇が重なった。
「ん………」
何度も試すように優しく重なる唇は、嫌なものではなかった。
「………ん、…ふ…っ」
甘い吐息が耳を打ち、小鳥遊は啄みを混ぜる。
「…ん、………んん…」
誘われるように璃音も啄み返すと、小鳥遊も更に啄み返した。
「…嫌か………?俺のキス…」
啄みながら小鳥遊が囁くと、璃音は微かに顔を横に振る。
「…や………じゃ…ない…」
甘い吐息混じりに、キスをせがむ璃音の顔は、熱があって紅潮しているせいか、酷く淫らに見えた。
「ふ…っ、う………ん、んッ」
堪らずに差し入れられた小鳥遊の舌に、熱で蕩けた舌を絡める。
小鳥遊が舌を引くと、璃音の舌が追いかけて、小鳥遊の口腔に差し入れられる。
弓削には捧げるように唇を重ね、小鳥遊に対しては淫らに貪るように唇を重ねる璃音。
龍嗣が璃音に対して無条件に欲情するように、璃音も自分を噛んだ者の望みを叶えようとする。
だからこそ、相手が望む口づけをしてしまう。
「そうだ。
もっと舌を絡めて、俺の理性を飛ばせ、璃音…」
深く深く口づけられ、絡まる舌に、背筋が痺れ始めた。
自然に腰が揺れ、胸の蕾も固くしこってくる。
芯が通った蕾を、パジャマの上から指で転がされると、甘く鋭い刺激に体が跳ねた。
「……あっ、やんっ」
体を捩り、全身を駆け抜ける電流をやり過ごそうとする度、蕾を擦られて益々逃げられなくなって行った。
ともだちにシェアしよう!