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決して一方的に貪るのではなく、相手に想いの総てを捧げるような、それでいて、甘く激しい口づけを交わす。
愛おしくて堪らなくて。
ずっとこうしていたい…。
そう願ってしまう程に…。
夢中で重ねた唇を離し、まだ芯に燻る熱を持て余す体を抱きしめ、龍嗣はチノパンのポケットから小さなケースを取り出して、璃音の前に差し出した。
「………?」
「開けてみてくれるか…?」
戸惑いながらも恐る恐る蓋を開けると、銀色の指輪が二つ並んでいる。
「こ……れ…?」
小さい方を持ち、璃音に内側を見せる。
「この内側に並んでる小さい石…、左からダイヤモンド、エメラルド、アメジスト、ルビー、エメラルド、サファイア、ターコイズなんだけどな、頭のアルファベットを拾ってごらん?」
「ダイヤがD、エメラルドがE、アメジストがA、ルビーがR…、エメラルドがE、サファイアがS…、ターコイズがT…。」
「それを繋げると、言葉になるんだ」
「D…E、…A、R、E、…S、…T
DEAREST…ディアレスト………心から…?」
璃音の心臓が、早鐘を打つ。
それは、龍嗣と同じ性別の自分には、決して与えられる事はない筈の物。
「大抵は、"心から"と使うけど、古い言い回しをすれば…その、な…?」
茹で蛸の様に真っ赤な顔で龍嗣が口ごもる。
「照れ臭いから言いにくいんだが、その…、あああ…っ、何だか私が乙女みたいで恥ずかしいじゃないかっ。
それ…、"最愛の人"という意味なんだ」
「………っ!?」
「かなり昔の作り方なんだが、璃音にはこれがいいんじゃないかって思ったんだ。
受け取ってくれるか…?」
ほたほたと、見開かれた目から涙が零れる。
「僕に…くれるの?」
「他に渡す相手はいないだろ?
ほら、正面に座ってくれなきゃ嵌められないぞ…?」
促されて、苦笑いする龍嗣の正面に、璃音はチョコンと正座する。
龍嗣が璃音の左手を取り薬指に指輪が嵌められ、それから、龍嗣の大きな左手を璃音が取り、薬指に揃いの指輪が嵌められた。
「な…、なんだか、手がカクカクするね…」
「わ、我ながら、やる事が乙女過ぎて顔が熱いぞ…」
「でも…、凄く嬉しいよ。ありがとう…龍嗣っ!!」
思い切りよく璃音が龍嗣に抱き着くと、照れまくった龍嗣がきつく抱きしめ、口づけを落とした。
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