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龍嗣の腕の中で深く深く愛され、不安定に波立っていた璃音の心は凪いでいった。
禁断症状で出ていた熱も下がり、呼吸も穏やかに落ち着いた後…。
親鳥の羽に包まれて眠る雛鳥のようにトロトロとまどろむ璃音を抱き上げ、龍嗣はバスルームへ向かった。
自分で後始末しようとしたのだが、上機嫌の龍嗣に捕まり、たっぷり時間をかけて綺麗にされた璃音は、ベッドだけでなくバスルームでも啼かされた。
少し浅く温めの湯を張り、向かい合わせで浸かると、段々気恥ずかしくなり、浴槽の縁に掴まって顔を背けた璃音を、龍嗣が抱き寄せる。
左腿の上に乗せ、横抱きの形で璃音を腕の中に収めていると、馴染んだ肌の感触に充足を覚えた。
今まで、こんなに深くのめり込み、愛情を注いだ相手はいなかった。
まだ15歳の子供に、プロポーズじみた真似までして、傍に置きたくなる程に。
今まで、自分の地位や財力目当てに言い寄ってくる相手はいたが、龍嗣自身のみを求めてきた唯一の存在。
それだけに、龍嗣にとっては璃音は特別の存在と言える。
「ここまでのめり込むとは思わなかったぞ…」
苦笑いしながら、璃音の髪を梳いてやり、こめかみに口づけを落とす。
璃音の体を支えていた左手に小さな手が添えられ、微かにカチリと金属同士がぶつかる手応えを感じる。
龍嗣の想いが込められた指輪を、改めて意識してしまい、璃音は茹だるのとは別に顔が赤くなってしまった。
「どうした?」
すっかり大人しくなった璃音の顔を覗き込む。
「璃音?」
困ったような、嬉しいような、複雑な顔をしたままフリーズしている。
「………指輪、やっぱり嫌か?」
「ううん、違うよ、…ただ…」
「ただ?」
「こんなふうに龍嗣に想われるって、予想してなかったっていうか、そろそろ飽きられちゃうんじゃないかって思ってたから…」
「飽きる?
邪魔をされただけで、何日も抱いたのに?」
「母さんが…」
「…?」
「母さんが言ってた…。
“お前が選んだ相手は、最期まで番いとして繋ぎ止めてはおけない。
お前が幼な過ぎて無理だろうな“って」
「飽きない。飽きる訳がないだろ?
抱けば抱く程のめり込んでる相手を、簡単に手放す筈がないんだからな…?」
深く深く口づけ、再び理性を侵食していく。
総ての不安も、璃音の中から消してしまう程に…。
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