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「「んん…、ふ…っ」」  お互いの鼻に抜ける甘い声が、バスルームに響く。 「龍……嗣…?」  吐息混じりの声が甘く切なく感じて、龍嗣は更に深く口づける。  熱く蕩ける舌を絡め合い、角度を変えて、何度も啄んでから龍嗣は唇を離した。 「飽きる訳ないだろ?  こんなに愛おしくて、片時も離したくないと思う相手は君だけだ。  何一つ見返りも求めず、純粋に愛情を捧げてくれる君を…。  いつも無償の愛情を注いでくれる君を、飽きて棄てるなんて考えた事もない。  棄てる気があるなら、君に指輪を渡したりしないだろ…?」  ギュウッと璃音を抱きしめる腕に力を籠める。 「ん………」  長い睫毛に縁取られた目が、更に潤む。 「ごめんね、変な事言って。  僕、龍嗣しか知らないから、駆け引きとかも知らないし、何て言ったらいいのかな…。  龍嗣を喜ばせていられてるのか、いつも不安なんだよね…」 「君の場合は、もう少し我が儘になってもいいんじゃないかと思うぞ。  ああ…、私が我が儘だから、君が我が儘を言いにくくなってるかも知れないな」  クスクス笑いながら唇を啄むと、璃音が不思議そうな顔をする。 「龍嗣…我が儘かなぁ?」 「君に対しては、かなりね」  湯あたり寸前の璃音を抱き上げ、そのままバスルームを出た龍嗣。  大判のバスタオルで璃音を包み、自分も水分を拭う。 「…着替え…って、これ…?」  バスケットに入れられていた物を見て、璃音が固まる。  大きな和服と、小さめの和服で、どちらも白い絹だ。  しかも、下着の類いが一つもない…。 「下着無しで、これを着ろって事?」  細かい織りで幾分艶を抑えたその着物は、同じ生地から作った対の物だ。 「まあ、昔は下に何も着けなかったらしいが…。  いかにも私にサカれと言わんばかりだな…」 「意味が良く判らないんだけど…」  苦笑いする龍嗣に、璃音が首を傾げる。 「白は無垢とか純粋なイメージがあるが、こういう場合は相手がエロく見えるらしいぞ?」 「………はい?」 「実際、それを着た君は、物凄く艶っぽいからな」  首を傾げながら、璃音は着物を広げてみた。 「よく判らないけど、僕がこれを着れば龍嗣は嬉しい…?」 「嬉しいというか…、欲情するな、多分」 「………」  璃音は目を丸くした。

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