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「何で璃音は、あんなに急いでオッサンに迫った訳?」 「私が思うに…、普段大人な部分を求められている代償のようなものなのではないかと…」 「………は?」 「瑠維様は、水上物産…ああ、今は水上マテリアルになりましたが、莫大な利益を生み出しているのは誰だと思われますか?」 「水上本家のオッサンだろ?」  瑠維の即答に、弓削は心苦しそうに答える。 「いえ…。  あの方はあくまで名目上での社長です。  実質的に開発部門を統括されて会社を回しているのは、璃音様なんですよ」 「………はい?」 「工業系に特化した璃音様が開発部門の統括になったので、農産物などは氷室物産に部門ごとシフトさせ、逆に氷室物産のお荷物だった工業系の部門を璃音様が引き取りました。  所謂、部門トレードですね。  現在、氷室の子会社という位置付けになっていますが、水上マテリアル自体の生み出す利益は、氷室グループの総利益の30%以上に及びます。  何せ、確実に爆発事故を起こさない油田プラントや、宇宙ゴミを出さない新型スペースシャトルまで開発してますから…」 弓削の言葉に、瑠維が固まる。 「燃焼事故無しで海底からメタンハイドレートを採取出来るプラントや、新種の珊瑚を元にした海底トンネルなど、ニュースでご覧になりませんでしたか?  あれも璃音様が開発なさった物の一部なんですけど…。」 「………嘘だ…ろ?」 「まだまだあるんですけどね…」  青ざめた瑠維に、弓削は苦笑いする。 「エンジニアとして、海外企業と技術を競い合ってらっしゃいますから、旦那様にベタベタしてストレス解消なさってるようですよ?  しかも、旦那様とベタベタした後は、必ずヒット商品を思い付かれてますから。  どれだけ相性がいいんだか…」  弓削が呟いた。 「ただの中学生なんだぞ?」 「異能が出やすい家系だからこそ…でしょうね。  従兄妹同士の子供なだけに、特に血が濃いからこそ顕れた才。  金銭には全く関心が無く、知識と技術にしか没頭出来ない…。  その成果と有りったけの愛情を、唯一人にだけ捧げようとする。  精神の一部が歪んでいるからなんだと思います…」 「成長が遅い、ただの子供だ。」 「あれだけの技術を生み出すには、脳で膨大な栄養が必要でしょうから、体に回していけていないのかも知れません」

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