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「そんなに可愛い弟を守りたいですか?」
「あ?あぁ…、そりゃそうだろ」
「体を繋ぐ相手は、旦那様だとご不満ですか?」
「あぁ…、あの節操のなさそうなオッサンは我慢できねーだろ…?」
注意深く、しかも瑠維の本音を搦め捕る。
それは、璃音や荊櫻が危惧していた事に関わるからだ。
「旦那様が、璃音様に婚約指輪を贈ったのはご不満ですか?」
「あっ、当たり前だろがっ!!
あんなオッサンが、璃音を幸せに出来る訳ないだろっ!?」
カッとなった瑠維に、更に畳み掛ける弓削。
「璃音様の番いの相手は、自分で有りたかったですか?」
「ああ。
………………っ!!」
しまったと、我に返った時には、弓削に言質を取られてしまった瑠維。
「やはり、貴方の執着相手は璃音様でしたか…。
度が過ぎるブラコンっぷりに鬼夜叉が危惧してはいましたが、よもや本当に執着してたとは…」
「仕方ないだろ?
あいつにしか欲情しないんだからさ」
「まさか、璃音様の首筋を甘噛みしていませんよね…?」
ますます罰が悪い顔をする瑠維に、弓削の顔色が変わった。
「………噛んだんですかっ!?」
「噛んだ」
「い…、…いつですか…!?」
「ガキん時だよ、俺が三つの時」
「馬鹿か?コイツ」と言いたげな弓削の視線に、瑠維は忌ま忌ましそうに明後日の方向を見る。
「普通、自我が固まりかけた10歳を過ぎたところまで、選んだ相手を吟味してから噛むんですよ?
生まれて間もない弟を噛んでどうするんです!?
そうか…、それで、璃音様は誕生日前に相手を選ばざるを得なかった訳ですか…」
「だから、仕方ねえだろ?
我慢出来なくて焦れ焦れしてたんだからさっ!!」
はあ―――っ、と、深いため息をついて、弓削が額を押さえた。
瑠維が璃音を噛んでいたとすると、璃音が幼い折りに起こした夢遊病も無関係とは言えまい。
瑠維が焦れ焦れしたのを感じ取り、助けを求めて龍嗣を探していたと言えなくもない。
「たった3歳で焦れ焦れして噛むなど…、何処まで直情馬鹿なんだか…」
弓削は、ガックリと膝をつく。
瑠維が璃音に執着している事は、荊櫻と璃音が一番危惧していた事だ。
血族婚を繰り返した一族の、最も忌むべきタブーなのだから。
璃音の性別が違っていたなら、更に面倒な事になっていただろう…。
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