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『件名最悪の事態です!  送信元弓削 忍  直情馬鹿…、いえ、瑠維が璃音を噛んでいました。  璃音が氷室を選ぶ前の事の様ですが、既に璃音以外に欲情しない状態です!  場合によっては璃音の身に危険が及びますので、鬼夜叉の計画に沿ってガードをする必要があると思います。  近い内に、氷室、璃音両名との顔合わせと、綿密なる打ち合わせをしましょう。  まずは、取り急ぎ連絡まで。』  深夜のメールにも関わらず、五人の反応は早かった。  一族でもタブーとされている近親噛みは、親子間・兄弟姉妹間・伯父(叔父)伯母(叔母)甥姪間だ。  血族に惹かれる彼等でも、禁忌にあたる近親噛みは決して出来ない。  巧妙な刷り込みが、彼等に躊躇をさせるのだ。 『嘘でしょう!?』 『マジかよ!?』 『嘘だろ!?』 『ちょっと、それホントに!?』 『冗談はやめてくれ!!』  それぞれ文面に多少の違いはあるものの、真実であって欲しくないという気持ちが表れたものだった。 『冗談であれば、どれほど良かったか知れません。  本人が誘導に乗って、うっかり漏らしたので、事実としか思えません。  鬼夜叉の危惧が大当りしてしまったので、対応は早ければ早い程良いのではと思います』  素早く返信する。  五人も、『対応の迅速さが必要・顔合わせのセッティングを宜しく』と、早々に返信してきた。  璃音の体調を見て、週末か週明け早々に顔合わせする事にし、弓削は璃音と龍嗣が眠る部屋の施錠を確認してから、部屋に戻って自分のベッドの端に座る。  目の奥が痛い。  偏頭痛も、今夜はきつい。  ここ数日璃音の看病をしていたのと、長時間の運転、璃音のフェロモン酔いに加え、トドメが瑠維の近親噛みだったからだ。  胃に優しいタイプの錠剤を含み、ミネラルウォーターで流し込む。  明朝、瑠維が起き出す前にオーディオルームも片付けておかねばならない。  また、璃音に瑠維の近親噛みの件を密かに伝えねばならないだろう…。  最悪の事態ではあるが、璃音に求愛した六人がガードに入る事や、場合によっては水上本家の応援を得る事等も伝え、なるべく動揺しないようにせねばなるまい。  ズキズキとする頭痛が引いていくのを感じながら、弓削は眠りに落ちて行った。

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