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「それよりも、大問題は瑠維の方です。  まさか、本当に近親噛みをしていたなんて…」 「あの書斎事件の時の剣幕を考えてみなさいよ。  どう見たって、エロ魔神の事を間男みたいに見てたワよ?  あれは、璃音の成長を待っててタイミングが遅れて、エロ魔神に先を越されたんだワ」 「同じ直情馬鹿なら、エロ魔神がマシですか?」 「……どっちもどっちよ」 「そうきますか」  シーツの交換を終え、弓削がベッドの端に座る。  椅子の上では、猫が踏ん反り返って鼻息を荒くした。 「そりゃそうよっ!!  始終サカッてるエロの塊の龍嗣と、我が儘の塊のお子ちゃま瑠維なら、どっちも御免被るワ!!  璃音にはね、程々に大人で堪え性と甲斐性があって、浮世離れしてる璃音を現実に留め置く事が出来る、荊櫻みたいな人間じゃなきゃ!!」 「………誰ですか、つか、いるんですか?そんな都合の良い人物は…」 「ワタシの目の前にいるじゃないの」 「…はい?」 「エロ魔神を掌の上で上手に転がして、我が儘なお子ちゃまの瑠維を宥めすかして、浮世離れした璃音を上手く現実に留め置いてる…。  弓削忍、アナタしかいないでしょ?」  えっへん、と、胸を張る猫。 「高く評価して頂いて恐縮なのですが、私は基本的にレールを外れる事が出来ないだけですがね…」  まだ微かに残る頭痛を忘れた事にして、弓削は苦笑いしている。 「それに…璃音様は、そのエロ魔神を生涯の伴侶になさいましたよ?  あとで試しても構わないですが、もうあの方は私が触れても反応しない筈です。  もうひっくり返る事はないでしょう…」  ヘッドボードに掛けられた璃音のシャツを手に取り、ゆっくり顔を上げる。 「あら、簡単に諦めちゃうワケ?」 「諦めるもなにも、初めから私には勝ち目の無い賭けでしたよ。  純真無垢さや可愛らしさに隠れて見えにくい、生真面目さや強情っ張りな部分は、あのエロ魔神の萌えを刺激しまくってましたし。  賭けの対象である璃音様を、つい全力で応援してしまうあたり、私の悪食も中々かもしれませんね」 「…龍嗣みたいなエロ魔神と違って、アナタはもっと優しく穏やかに璃音を抱いてあげられると思うけど…。  荊櫻もアナタを一番気に入ってたから、最有力候補だったのよ?」 「お褒めに与り、光栄です」  穏やかに弓削は笑った。

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